富士河口湖町がバリアフリーのモニターツアー


旅館内のスロープの危険性を指摘する参加者ら

旅館内のスロープの危険性を指摘する参加者ら

 「宿の風情をそのままに味わいたい」「アクティブに活動している障害者の声を取り入れて」──。10、11の両日、山梨県富士河口湖町で、車いす利用者や視覚障害者らが宿泊施設や観光施設のバリアフリー化状況を検証した。参加者からは河口湖周辺のバリアフリー化状況について問題点の指摘があった一方、積極的な取り組み姿勢や障害者にやさしい観光地となりうる潜在的可能性を評価する声も聞かれた。

 検証は、同町内の観光活性化などに取り組む、富士山地域創造(小佐野常夫代表理事)が山梨県地域活性化促進事業の補助を受け実施したモニターツアーの一環として行ったもの。

 首都圏在住の電動車いす利用者4人、手動車いす利用者2人、全盲、弱視の視覚障害者3人が参加。3グループに分かれて町内各施設を移動、見学したほか、バリアフリールームを持つ旅館・ホテルに宿泊し、利用しやすさや問題点などをチェックした。

 このうち山梨宝石博物館や河口湖ハーブ館を回ったグループは、各施設の見学を楽しみながらも、施設内のスロープの危険性や多目的トイレの使いやすさ、展示方法などを、実際に利用する立場から確認。また介助に付いた町のボランティア参加者に、介助のコツなどを伝える姿も見られた。

 11日に行った意見交換会では、視覚障害者から「ルームキーや大浴場の表示が浮き彫りなどになっているだけでも非常に助かる」「視覚障害者は、触ったり臭いをかいだりして楽しむ。ハーブ館は香りで楽しめるのが良かった」、車いす利用者からは「スロープに手すりがあれば、車いす利用者だけでなく足の不自由な人の補助にもなる」「和室の床を椅子ぐらいの高さにした方が利用しやすい」などの意見が出た。そのほか「障害者は『特別扱いでない』のが一番うれしい。まずは障害者に慣れて、どんどん声掛けしてもらいたい」「河口湖は首都圏から近いし、泊りがけで来ても楽しめる観光地だと分かった。知人にも河口湖の魅力を伝えたいし、また来てみたい」などという声も聞かれた。

 小佐野代表理事は、「ハード、ソフト面で課題点もあったが、評価もいただいた。指摘を受けた人的なサポート体制の充実を含め1歩1歩バリアフリーの取り組みを進め、いずれは他の観光地に広めていけるようにしたい」と意欲を語った。

 4月以降は人的なサポート体制の充実を図るため、介助を行うトラベルヘルパーの養成などを進めていく考えだ。

旅館内のスロープの危険性を指摘する参加者ら
旅館内のスロープの危険性を指摘する参加者ら
 
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