宿泊施設、被災者支援へ動き


温泉に入ってひと息つく被災者ら(山形・赤倉温泉、わらべ唄の宿 湯の原で)

温泉に入ってひと息つく被災者ら(山形・赤倉温泉、わらべ唄の宿 湯の原で)

 東日本巨大地震の影響で避難生活を余儀なくされる人は15日時点で46万人以上と見られる。その中で「少しでも役にたてれば」と被災者を受け入れる宿泊施設の動きが本格化している。

 大きな被害を受けた福島、宮城、岩手の各県に近いことから、避難所を求めて多くの被災者が流入している山形県。ライフラインも復旧していることなどから、多くの旅館・ホテルが被災者に向けた支援策を打ち出し始めた。

 最大震度7を記録した宮城県栗原市に近く、宮城県に隣接する山形県最上町では15日、地震の発生を受け、同日開催の町議会本会議に追加議案として「入湯税課税特例条例」を制定、同日施行した。

 今回の地震の被災者や支援者が対象。同町内の温泉旅館利用の際、宿泊の場合は150円、入浴のみの場合75円の入湯税を全額免除する。期間は来年3月末まで。同町ではすでに2カ所の避難所を開設しており、県外からの被災者の姿も多く見られるという。

 同町内にある赤倉、瀬見の両温泉では、被災者や支援者を対象に、日帰り入浴を無料にするサービスを始めた。

 赤倉温泉旅館組合の6軒では15日から1週間、午前10時〜午前4時に入浴を無料開放。

 このうち「わらべ唄の宿 湯の原」では、16日は午前中だけで40人が入浴支援サービスを利用するなど盛況で、冷えた体を温めた利用者からは笑みもこぼれた。「(日本海側の)酒田まで給油に行き、その帰りに立ち寄られる方もいた。少しでも被災者の役に立てれば」と同館の柴田薫さん。

 同温泉では各施設ごとに1泊3食5250円からという格安の料金で宿泊できるプランも設定した。

 瀬見温泉の6軒の旅館では、無料入浴サービスのほか、「がんばろう東北 地震被災者応援プラン」と銘打ち、1泊3食5500円、素泊まり3千円の統一料金プランを用意する。各施設とも、燃料や食材の確保に苦労しているため、食事の用意ができない際には、夕食の場合1千円、昼食、直食の場合はそれぞれ500円割り引く。

 東北電力が実施を計画する計画停電の動向を見ながらの支援サービスの展開となるが「ゆめみの宿 観松館」の高橋昌裕社長は「こういった非常時に温泉旅館として何ができるかを考えた。温泉全体で400人程度受け入れられるので、利用してもらえれば」と話す。

 同県南陽市の赤湯温泉旅館協同組合。組合加盟の15軒が1泊2食5250円、1泊朝食4200円、素泊まり3675円の宿泊料を設定、被災者の受け入れを始めた。4月15日まで実施する。「数多くの問い合わせがある」という。

 同県内の宿泊施設では、交通機関のマヒなどもあって宿泊キャンセルが相次いでおり空室を確保しやすいという事情もあって、かみのやま温泉や天童温泉などでも同様の支援サービスが始まっているという。

 被害が大きい福島県から被災者の受け入れを始めたのは栃木県の那須温泉旅館協同組合。震災で地元に帰れなくなった修学旅行生を受け入れたり、新幹線に閉じ込められた乗客を町を通じて宿に分散させたりしている。避難場所での炊き出しも行った。

 塩原温泉旅館協同組合は15日から、断水などで入浴できない、主に近隣の人たちを対象に日帰り入浴サービスを開始した。入浴時間はおおむね午後1〜5時で、31軒が参加。タオルや石けんなどは持参してもらう。「料金は1人100円。無料も考えたが、集まったお金は被災地へ送りたい」と言う。また、16日からは被災者支援プランを始める。32軒が宿泊料を1泊2食5千円程度に抑え、被災者が利用しやすいようにした。

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