宮崎の中学生、教育旅行の一環で被災地訪問


全壊した中浜小校舎内で井上元校長の話を聞く

全壊した中浜小校舎内で井上元校長の話を聞く

 宮崎市内の中学生が20日、東日本大震災の被災地の宮城県山元町を訪問し、地元の中学生や仮設住宅の住民との交流、被災現場の見学に臨んだ。同市教育委員会の「がんばろう東北 子どもたちふれあい交流事業」による教育旅行で、旅行業務は近畿日本ツーリスト九州宮崎支店が受託した。また、宮崎菓子協会が地元の菓子詰め合わせ650個を託し、交流団の一行が同町の中学生や被災住民に配布した。

 この日は宮崎市立赤江東、生目南いきめみなみの両中学校の生徒20人らが、町内のイチゴ農園での清掃ボランティアに従事した後、同町立山下、坂元の両中学校を訪問した。一行は両校の全校生徒が参加する歓迎式に臨んだ後、宮崎県に関するクイズやゲームで交流を深めた。山下中では宮城、宮崎両県の郷土料理の給食を味わった。坂元中では記念植樹を行った。

 さらに、津波で全壊し、廃墟となった旧中浜小学校校舎を訪問。元校長の井上剛・現坂元小校長から津波が襲ってくる緊迫した状況や避難してきた住民の様子などの説明を受けた。生目南中1年の笹山大輔君(12)は「テレビや新聞で見るよりひどい。本当に津波は怖いと思った。もしもの時は自分たちで考えて対処できればと思う」と語った。

 この後、地元の仮設住宅を訪問し、住民から現在の生活状況について話を聞いた。

 今回の教育旅行は19〜21日の日程で実施された。一行は同町訪問の前後で、松島湾や仙台城跡の見学、松川だるま絵付け体験も行った。

 今回の教育旅行に対する地元住民や宮崎市内の保護者の関心は高く、同支店が開設した旅行内容を紹介する簡易型ホームページには多くのアクセスがあった。また、訪問した中学生の一部は20日、同町臨時災害FM放送局「りんごラジオ」の番組に出演した。

 この交流事業は、同市が震災直後から同町に職員を派遣、宮崎県教委も教職員を派遣し、このうち同市の教員も含まれていたことがきっかけで始まった。市教委は2012年3月に山下中の生徒と教師計192人、同10月に坂元中計103人を同市に招待した。

 当初から同事業を担当し、今回添乗員として同行した同支店の田代修担当課長は、今回の交流事業の意義について「(2年前の)口蹄疫の被災地になった宮崎と震災被災地の宮城が、復興を目指して共に協力しながら前に向かうことが大事。これをきっかけに交流が続いていくことを願う」と語った。

 また、震災復興や防災教育に関して旅行会社が果たす役割については「地方の支店に勤務しているので、地元活性化や地元発型の交流事業を大切にしたいと考えてきた。今回の教育旅行を担当し、旅行会社として両県の交流に携わることができたことはとてもうれしいし、有意義だったと思っている。訪問した子どもたちは今回の体験をぜひ、地元で多くの人に話してほしい」と成果を強調した。

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