東京・日本橋のホテルかずさや(工藤哲夫社長)は7月17日、リニューアルオープンした。従来の施設を解体し、地上10階建てのビルを新築。客室を従来の倍の154室に増やしたほか、室内に江戸時代独特の色使いを取り入れるなど、地元の歴史と文化を感じさせる造りとした。都心では珍しい大浴場も新設した。
客室はシングル、セミダブル、ダブル、ツイン、デラックスツインの5種類。室内は茶色やねずみ色に微妙な濃淡と色を掛け合わせた「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と呼ばれる、江戸時代の町民が編み出した染色を採用。ドアは通常より幅広く、床はほぼフラットにするなど、車いす利用者にも配慮した。
2階は格子窓から光が差し込む落ち着いた雰囲気の男女大浴場と、日本橋かいわいの歴史を伝える「江戸『時の鐘通り』ミュージアム」を開設。「時の鐘通り」は同館が位置する日本橋の路地で、江戸時代に町民に時を知らせる「時の鐘」があったことから地元が命名した。ミュージアムには当時の時の鐘を忠実に再現した模型を設置している。
1階は宿泊客の朝食ほか、ランチ、ディナーを提供するレストランを開設。全54席で、インテリアには山形県産の重厚な木の大テーブルを採用した。
ホテルかずさやは創業130年の老舗ホテル。初代社長の工藤由郎氏が1891(明治24)年、旧「上総屋旅館」を買収して創業ののち、数度の解体、新築を経て今回、旧館と、隣接する商業ビルを取り壊し、10階建ての建物を新築した。
都心のホテルでは珍しい大浴場も