静岡県沼津市の戸田温泉の女将らが開発したジェラートが人気を集めている。その特徴は昔ながらの製法で作られた地元産の塩「戸田塩」が出す、ほのかな塩の味わい。海に近い戸田温泉をイメージさせるさわやかな風味も印象的だ。同温泉では戸田の新しい名物としてオリジナルのジェラートを幅広く浸透させることで、戸田温泉の知名度アップと地域活性化につなげたい考えだ。
「高足カニ」などの海産物の豊富さで知られる同温泉だが、海産物以外の目立った名物はない。そこで静岡県旅館組合女性部「あけぼの会」の戸田支部のメンバーが静岡県の名産品として県外でも知られる「戸田塩」に着目し、「子どもからお年寄りまで多くの人に愛されるもの」というコンセプトに基づき開発した。戸田塩は、NPO法人戸田塩の会が駿河湾の海洋深層水を薪でじっくりたいて作っている。
ジェラートのラインアップは、ミルク味をベースにした「戸田塩じぇらーと」と、西伊豆特産の桜葉、桜の花の塩漬けを使った「戸田塩桜じぇらーと」の2種類。どちらもシャーベットのようなサラリとした口どけと控えめな甘さで、後にほんのりとした塩味が残る。「『もう1回食べてみたい』と思ってもらえるような、後を引く味にするのに苦労した」と開発メンバーの川合克枝さん(海のほてる いさば女将)。戸田は国内固有の柑橘類・タチバナの自生地であることから、橘の香りを生かしたジェラートも開発中。地元産の原料にこだわることで、地域活性化も狙う。
08年の完成以降、地元商店や県内での物産市などで試験的に販売を続けていたが、お土産としての販売などが好評なことから、今年に入り本格的に販売、PRを始めた。パッケージもリニューアル予定だ。
ジェラートは旅館・ホテルの食事などで提供されているほか、戸田地域の旅館・ホテルなど7カ所、沼津のみなと新鮮館で販売している。戸田観光協会では地方発送も受け付けている。価格は1個300円。
塩を使ったアイスクリーム「戸田塩じぇらーと」