外国人就労新在留資格、宿泊業 4月に試験 「特定技能1号」受け入れへ

  • 2019年3月4日

日本旅館協会が外国人材の活用策でセミナー

 外国人材の就労拡大に向けて新たな在留資格「特定技能」の創設を盛り込んだ改正出入国管理法が4月1日に施行される。「特定技能1号」の受け入れ対象業種になっている宿泊業では、旅館・ホテル業団体が設立した試験機関が、在留資格の取得に必要な外国人向けの「宿泊業技能測定試験」(仮称)を4月中に国内で実施する。海外での試験実施も調整している。求人や採用、外国人の生活支援、登録支援機関の活用などで詳細が見えない部分があるが、制度開始まで1カ月となった。

 「特定技能」は、深刻化する産業界の人手不足への対応が目的。受け入れ対象業種は宿泊業を含む14業種。宿泊業が当面活用する特定技能1号は、家族の帯同は認められないが、在留期間は最長5年。「相当程度の知識または経験を要する技能」と基本的な日本語能力を持つ外国人が対象。

 特定技能1号は、宿泊業でこれまで活用してきた高度専門職の在留資格「技術・人文知識・国際業務」に比べて従事できる業務の幅が広い。フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどに加え、これらの業務に従事する日本人が通常行う関連業務にも付随的に従事できる。

 宿泊業の特定技能1号の受け入れは、旅館業法の旅館・ホテル営業が対象。フルタイムの直接雇用で、日本人と同等以上の報酬などが要件。就業する外国人は、同じ業種の同様の業務であれば転職も認められる。

 ただ、政府は受け入れ数に上限を定めている。宿泊業の場合、2019年度からの5年間で最大2万2千人。受け入れ旅館・ホテルは、国土交通省が設置する「宿泊分野における外国人材受入協議会」(仮称)に参加し、国の調査や指導に協力する必要もある。

 特定技能1号の取得に必要な宿泊業技能測定試験は、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟が共同で設立した「一般社団法人宿泊業技能試験センター」が実施する。留学生など日本国内に滞在中の外国人を対象にした国内試験は4月中に地方を含む複数箇所で実施する。海外での実施も調整中だ。

 旅館・ホテルが特定技能1号で外国人を受け入れるまでの手順は、試験に合格した外国人が、個々の求人募集に直接申し込む、または民間の職業紹介事業者の仲介を受ける。留学生など日本国内に在留していれば、ハローワーク(公共職業安定所)も活用できる。

 合格者と雇用契約を締結した旅館・ホテルは、海外から来日する外国人の場合、在留資格認定証明書を代理で地方出入国在留管理局(4月に出入国在留管理庁が発足)に申請。交付後に外国人に査証が発給され、入国となる。留学生などで日本に滞在中であれば、原則、本人が在留資格の変更許可を受けて就業する。

 在留資格を取得するには、受け入れ旅館・ホテルが、外国人の就業や生活をサポートするための支援計画を策定し、支援を実施する必要がある。自ら支援を行うか、国に認められた登録支援機関に委託するかを選択できる。支援内容は、(1)入国前の生活ガイダンス(2)入国・帰国時の空港への送迎(3)住宅の確保(4)預貯金口座の開設などの生活支援(5)日本語習得の支援(6)苦情・相談への対応―などが挙げられている。

 受け入れを目指す旅館・ホテルにとって、求人募集など採用までの手順、支援計画の策定・実施の要件などが関心を集めている。日本旅館協会は2月21日に特定技能に関するセミナーを東京都内で開催し、宿泊業界の取り組みや新制度の概要を説明した。

 セミナーで講師を務めた日本旅館協会労務委員長の山口敦史氏(山形・ほほえみの宿滝の湯)は「マッチング(求人募集・応募など)がどうなるか、具体的に見えていない。受け入れる外国人への支援や登録支援機関の詳細もこれから示される。登録支援機関に委託した場合の経費なども不明」として、制度が明確になり次第、業界団体などを通じて情報を周知したい考えを示した。

 特定技能の運用に関して法務省が公表しているスケジュールでは、3月中旬に改正出入国管理法の具体的な運用を規定した政省令を公布。申請書類はサンプルを3月1日に窓口で配布し、3月中旬に確定版をウェブサイトに掲載する。4月1日から申請の受け付けを開始する。

技能実習制度に宿泊業を追加へ

 日本旅館協会など宿泊業4団体は、新在留資格「特定技能」とは別に、技能実習法に基づく外国人技能実習制度の「技能実習2号」移行対象職種への宿泊業の追加に取り組んでいる。厚生労働省の専門家会議による意見聴取などの手続き中。順調に進んだ場合、決定は6~7月ごろとみられる。

 技能実習制度の目的は、人手不足への対策を掲げた新在留資格「特定技能」とは違い、開発途上国などの外国人が日本で働きながら技能を習得する国際協力となる。

 受け入れ事業者は、国の許可を受けた監理団体の実習監理を受ける必要があるなど、制度の仕組み、発生する経費などが新在留資格「特定技能」とは異なる。技能実習生が従事する業務も必須業務や関連業務などが設定される。

 技能実習制度の「技能実習2号」(技能実習1号を含めて通算3年の実習)の修了者は、新在留資格「特定技能1号」を試験なしで取得できるが、宿泊業は現時点で技能実習2号の実習生はいないため、当面は「特定技能1号」への移行はない。

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