国際観光文化交流協会(藤野公孝会長)とセルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)は8月28日、「渋谷の歴史とオリンピックに向けて『国際観光文化フォーラムin渋谷』」をセルリアンタワー能楽堂で開いた。約200人が参加した。渋谷区の長谷部健区長も来賓出席した。
藤野会長は開会あいさつで「3年後の2020年に2回目の五輪開催となる東京の中でも、渋谷は特に内外から注目されている。東急グループが『日本一のエンターテイメントシティ』を目指し、2017年から2027年の10年間で新しい渋谷の街づくりに取り組んでいる」と述べ、5回目となる本フォーラムを渋谷で開催する意義を示した。
東急電鉄都市創造本部開発事業部の太田雅文副事業部長は「渋谷開発 クリエイティブ&エンターテイメントシティに向けて」と題して、東急電鉄の「街づくり」の歴史を紹介。現在では、原宿、表参道、青山、恵比寿、代官山、裏原宿といった渋谷周辺に位置する情報感度の高い街を「広域渋谷圏」ととらえた上で開発を進めていると話した。
藤野会長の夫人で、料理研究家の藤野真紀子氏は、自身が学生時代から慣れ親しんだ渋谷の街にまつわる豆知識を「ディープな渋谷」として披露した。
サッポロビール文化広報顧問・ヱビスビール記念館長の端田晶氏は「ビールから街を育てた男“東洋のビール王”馬越恭平」と題して講演。日本のビール業界の歴史を紐解きながら、恵比寿ビールの社名から恵比寿の地名が生まれたことなどを解説した。
服部栄養専門学校理事長・校長で農林水産省「食育推進会議」委員でもある服部幸應氏は「オリンピック・パラリンピックに向けた日本の食文化と食育」で講演。服部氏は冒頭、「2008年に当時衆議院議員だった藤野真紀子さんの協力のもと、私が政府に提案していた食育基本法が施行された。現在、食育の普及活動に尽力している」と紹介。その上で、「日本の食料自給率は39%だが50年前は73%だった。当時農業従事者は1427万人いたが、現在は230万人で平均年齢は68・8歳。毎年20万人がリタイアし、6万人が新規就労しているので、毎年14万人の農業従事者が消滅していることになる」と述べ、農業就労人口の減少に警鐘を鳴らした。ただ「50年前に英国は47%、ドイツは63%の食料自給率だったが、現在ではそれぞれ63%と93%に上がっている」とも述べ、改善が可能であることも示唆した。
また、ロンドン五輪から、五輪開催時における六つの食料調達指針(1)地元産(2)持続可能な農業(3)オーガニック(4)季節の野菜(5)フェアトレード(6)栄養バランスに優れたメニューが定められたことを紹介。農水省も有機JASマークやJGAP(農業生産工程管理)の運用などで努力していると解説した。
能舞台で、ヴァイオリニストの川井郁子さんの演奏、能楽師大蔵流狂言方の茂山忠三郎氏の狂言も披露された。