国観連、旅館客室の販売システム構築を検討へ、客室の流通効率化狙う


 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長)は、客室流通の効率化に向けて、複数の旅館の客室を集約して販売するシステムの事業化を検討する。システムを構築、運営する共同管理組織を旅館主導で設立し、販売予約事業者などに開放していくことを視野に入れている。4日の通常総会で過去2年間にわたる検討委員会での研究成果が報告され、今年度の事業計画に盛り込まれた。

 国観連では、05年度に立ち上げた旅館客室稼働率向上システム検討委員会で、客室販売の現状や問題点を整理、新たな仕組みの構築、システム化の可能性を模索してきた。委員には、国土交通省担当課や外部の有識者を加え、今年3月には報告書をまとめた。

 集約販売システムの事業化は、旅行業による客室ブロック型取引とは異なり、複数の旅館が利用できる自前の予約システムを共同管理組織のもとで立ち上げ、宿泊販売事業者を介した予約やネット直販など予約発生型の取引を目指すのが狙いだ。従来のブロック型取引と併せて、流通経路の多様化、商品の多様化につなげる。

 事業化をさぐる背景には、個人化、多様化する宿泊市場の変化に伴う客室稼働率の低下がある。特に旅行会社にブロックとして委託した客室は販売が進まない場合、宿泊日直前に旅行会社から返却され、旅館は在庫の消化が難しくなっている。

 佐藤会長は、客室流通の効率化について「例えば、相当程度売れ残る客室在庫の共有化を図り、より多様な商品設定、価格設定ができる環境を整え、新たな宿泊サービスを市場に供給する」と説明したほか、「流通に風穴を開け、少なくとも旅行業界とイコール・パートナーの関係を築きたい。システムの事業化には国交省も関心を持っている」と意欲を示した。

 検討委員会では、新たな販売システムの構築は個々の旅館が取り組むには負担が大きいとして、共同管理組織の設立を提言。システム構築の経費などを分散できるほか、宿泊販売事業者が利用しやすくなる。また、訪日外客の個人旅行に対する海外への販売拡大も念頭に入れている。

 検討委員会の坂井永一委員長(笹屋ホテル)は「問題を解決するには、流通や情報のインフラを整備するしかない。業態や地域などを考えてどのようなテストケースを作り、共同管理組織をいかに立ち上げるかが課題だ。具体的な検討を深めていきたい」と語った。

 事業化に向けては、旅行会社との連携について、既存の取引旅行会社やネット旅行会社の理解を得ることを課題に挙げている。一方で、取引関係の薄かった小規模の旅行会社などに対する新たな販売チャネルとなる可能性を指摘している。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒