国土交通省は10日、世界的な景気後退による航空重要の急減を受け、経営が悪化している国内航空会社の緊急支援策をまとめた。国内路線の着陸料引き下げや羽田空港の公用機発着枠の一部割り当てのほか、観光面での航空需要の喚起などを盛り込んだ。
同省は景気後退の影響で国際旅客は2割程度、国内旅客で1割程度減少し「航空需要が大幅かつ急速に減退している」と分析。こうした状況を踏まえ、今回、「航空事業経営基盤強化のための支援施策パッケージ」として打ち出した。
着陸料引き下げは採算の厳しい地方路線を維持するための施策で、国が管轄する空港を対象に実施する。すでに地方空港を中心に軽減しているが、軽減率を2割程度上積みする。7月から来年3月までの時限措置だが、着陸料の負担軽減が運賃の引き下げにつながり、旅客が増えることを狙う。
羽田空港の公用機向け発着枠(VIPや公的機関、報道用などに確保)は1日15往復のうち、2往復分を暫定的に航空会社に配分する。羽田発着の路線は需要が高く、収益性も良いことから、増便による収入増が見込まれる。
航空会社の資金需要に応じて適切な金融上の措置が講じられるよう、国交省が日本政策投資銀行など関係金融機関に要請する方針も盛り込んだ。
このほか、収益力向上努力を支援するための施策のうち、航空需要の喚起については、今年度からファーストクラスやビジネスクラスの割引運賃の下限を撤廃、柔軟な運賃設定ができるようにする。
また、官民一体となった観光・航空需要の創出に取り組む。具体的には羽田の国内線旅客ターミナル内のスペースを希望する自治体などに提供して、観光プロモーション活動ができる「国内観光振興プロモーション」を実施する。08年度に実験的に行ってきたが、今年度も引き続き実施する。