富士山が国の史跡に登録されたことを受け、富士山を全面に打ち出し集客に結びつけようという動きが出ている。JR東海の「富士山観光」をテーマにした企画だ。また、史跡登録とは直接関係はないが、山梨、静岡、神奈川3県の観光部門で組織する富士山ライジングプロジェクト実行委員会は富士山を軸にした旅行商品造成支援に乗り出している。東海道新幹線と富士山周辺の旅館・ホテルを組み合わせた旅行商品は少なくないが、史跡登録を機に改めて注目を浴びそうだ。
JR東海が「富士山観光」と銘打った企画を打つのは珍しい。「富士山の日」(2月23日)に合わせ、20日から全面的に展開する。
まず、富士山巡りに便利な富士山満喫きっぷ、フリーきっぷ、富士山きっぷの3種類を発売。満喫きっぷは主に静岡県内の富士山周辺の絶景ポイントや観光スポット巡りに便利な鉄道(普通車自由席)、バス、ロープウエー、船が1日乗り放題となり、価格は大人3千円、子ども1500円。
豊橋〜新大阪間の新幹線駅の利用者には1往復料金を含めたフリーきっぷ(有効期間3日)を大人1万1400円(豊橋乗車)〜2万3200円(大阪市内乗車)で販売する。子どもは半額。
駅などで配る無料情報誌「Shupo富士山」も発行。富士山信仰の遺跡、グルメなどをアクセス情報を交えて紹介。また、23日からは新富士、富士、富士宮の3駅で富士山周辺の味覚を詰め込んだ弁当「ふじのくに」を販売する。
ライジングプロジェクト実行委員会の事業は、旅行会社が富士山を中心とした3県の観光魅力をアピールする、宿泊を伴う旅行商品を企画・造成する際、一定額を支援するもの。「初の試み」と事務局の神奈川県商工労働局観光課。
対象となるのは募集型企画商品。3県のうち2県以上の宿泊施設を利用したプランで、4月1日から11月末までに催行される旅行商品。「委員会が作成した『富士山ドライブナビ』に掲載のコースや素材を参考に、名産品や特産品、料理などをテーマにした宿泊プランを造ってほしい」としている。
支援額は1件に付き30万円以内で、最大6件程度を支援する。その際、(1)パンフレットやチラシ、ホームページなどに「富士山ライジングプロジェクト後援」の文字を入れる(2)集客見込み、報告──が条件となる。申請は3月1日から受け付ける。
国の文化審議会は昨年11月中旬、静岡、山梨両県にある富士山信仰関連の遺跡や神社など10資産を「史跡富士山」として国の史跡に指定するよう文部科学相に答申、その後答申通り指定された。