加賀八汐(石川県加賀市)、自己破産申請へ


 帝国データバンクによると、温泉旅館経営の加賀八汐(石川県加賀市)は、11月18日付で自己破産申請の準備に入った。

 同社は、1968年3月設立の芝辰観光が運営してきた温泉旅館「加賀プラザホテル」の営業を引き継ぐことを目的に、現代表と企業再生を得意とする大阪のコンサルタント会社の出資で2007年7月に設立された。

 整理回収機構や地域金融機関の協調による再生支援スキームの下、過剰債務を抱えて経営難に陥っていた芝辰観光から吸収分割によって、同年11月に同社が温泉旅館の営業を継承し、その後旅館名を「加賀八汐」に変更した(芝辰観光は08年10月に特別清算開始決定を受けたが、その後破産手続きに移行した)。

 運営する旅館施設は片山津温泉内の柴山潟湖畔に面した立地で、全室から白山が眺望できるロケーションを売りとして、客室数44室、収容人員230人の中規模旅館として営業を行ってきた。しかし、団体旅行客の減少、消費者ニーズの変化、同温泉地内における他の旅館との競合も厳しく、同社が事業を継承して以降も思うような実績を上げることができずに経過していた。

 15年3月の北陸新幹線金沢開業以降は、インバウンド需要を取り込んで業況は一時的に良化し、16年6月期の収入高は約2億3千万円を計上したが、それでも収益性は低調で赤字決算を強いられていた。新幹線効果の薄れから近年は減収傾向に転じ資金繰りは悪化、この間には一部金融機関の借入金が債権回収会社に譲渡されていた。

 近時は新型コロナウイルス感染拡大により業況がさらに悪化。コロナ関連融資を導入して資金をつないでいたが業況の回復は見られず、先行き見通し難から今年9月25日付で従業員を解雇しその後はいったん休館としていた。最終的に営業再開と債務償還のめどが立たず今回の事態となった。

 負債は約1億8千万円が見込まれる。

 なお、石川県の新型コロナウイルス関連の経営破綻は10件目。

 
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