創立60周年、今後のビジョン 読売旅行 社長 坂元 隆氏に聞く

  • 2023年1月6日

読売旅行 坂元社長

高付加価値でオンリーワンに

「協力会」ホテル旅館・施設と連携

読売旅行が昨年(2022年)11月28日に創立60周年を迎えた。記念の年の主な取り組み、今後に向けたビジョンを坂元隆社長に聞いた。

 ――60周年イヤーの主な取り組みは。

 「創立記念日の11月28日、新しい基幹システムを稼働させた。ダイナミックプライシング(DP=変動価格制)に対応した、旅行業界初のクラウド型基幹システムで、名称は『Dream Journey Cue(DJCue=ドリームジャーニーキュー)』。まずは個人型のDP旅行商品の販売を開始した」

 「フル稼働は今年2月を予定している。DJCueに連動した新たなサイトを立ち上げ、団体型商品も含めて販売する。新システムの高いコネクティビティを最大限に生かして、パートナー事業者が提供する旅ナカ素材や交通手段を商品に取り込み、コロナ禍を経て変質した市場ニーズに合致した商品を提供する」

 「商品は大きく二つのカテゴリーに分ける。当社の代名詞的存在の添乗員付きの団体パッケージ旅行は『パレード』という名称で、昨年からブランド展開している。単に名称をリニューアルしただけではなく、可能な限り高付加価値の商品作りを心掛けている」

 「もう一つのカテゴリーは、当社があまり手掛けてこなかった個人型商品。こちらは新たなブランド名『ブーケ』として年明けから発売した。個人型商品のデジタル販売は既に他社も行っているが、当社は一線を画してお客さまに提供しようと思う。例えば、当社が得意とするパッケージ旅行の一部を、個人型旅行の中に旅ナカ素材として組み入れるなど、団体型旅行と個人型旅行のハイブリッドのような商品をデジタルと紙で販売したい」

 「旅行商品に関しては、他社にない、とがったオンリーワン商品を売っていこうと、意識して取り組んでいる。例えば、当社の親会社である読売新聞の持つアセットを利用した高付加価値商品。読売新聞が主催する将棋の竜王戦の観戦ツアーがその一例だ。対局に臨席できるレアな体験を提供したところ、1人20万円の高額商品にもかかわらず、告知後5時間で完売した。『テーマ旅行企画グループ』という組織も立ち上げ、そこで造成した『爆破体験ツアー』はメディアでかなり話題になった」

 ――2021年に地方創生を支援する「観光振興部」を設立した。

 「政府と自治体のプロポーザル案件などで読売新聞グループの情報発信力や信頼性を前面に出した提案を行い、過去1年半に全国19道府県で38件の事業が採択された。競争率が高い地方創生事業だが、応札した案件では6割以上の採択率を誇っている。観光振興事業で培った営業力と自治体などとの関係を生かし、今後はBPO(業務プロセスの包括的受託)事業も推進する」

 「和歌山県庁とは、当社の送客キャンペーン『読売ロマンの旅』で関係が深まり、昨年10月に包括連携協定を締結した。協定は単なる送客ではなく、観光素材の企画、開発や情報発信、イベント実施にともに取り組むとうたっている」

 「地方創生の一環としては20年にスタートした、御朱印帳の鉄道版『鉄印帳』事業もある。先般発表された『日本ネーミング大賞』で優秀賞を受賞した。昨年10月末現在で鉄印帳の販売部数は5万部を突破。鉄印の記帳枚数は41万枚を超えている。当社のツアー商品に独自性をもたらす素材としてだけではなく、観光振興事業のフックとしても効果を発揮している。鉄印帳の販売を手がける子会社の旅行読売出版社では各都道府県の魅力を伝える絵本も制作しており、シリーズ化を目指している」

 ――会社のこれまでを振り返ると。

 「60年前といえば、高度成長時代で、新聞がどんどん部数を拡大していた時期。当社もその流れに乗って、団体型のパッケージツアーを多く作り、新聞広告や折り込みチラシで販売していった。主催旅行のメディア販売の草分けといえ、その手法の確立にひと役買った。ただ逆に、完成されたがゆえ、このビジネスモデルの枠からなかなか抜け出せなかった部分もある。60年たった今、これから先を見据えなければいけないと思っているところだ」

 ――次の70年、80年に向けたビジョンは。

 「今後は価格で勝負する時代ではなくなる。付加価値を付けた商品をいかにお客さまに提供するか。商品の質を上げなければならない。当社は60年間、国内旅行を中心に取り組み、国内の旅館・ホテルさん、観光施設さんと多くのつながりがある。パートナーの皆さまが持つ価値を組み入れることで、商品をより魅力的にする。そのような努力が必要だ」

 「販売手法は今までの新聞広告、折り込みチラシに加えてデジタルを大胆に活用しなければならない。事業形態として、従来のBtoCに加えて、BtoBも見据えて取り組む。観光立国を目指す国の方針にわれわれも貢献したい。インバウンドはまだ、スタートラインに立ったばかりだが、これから間違いなく増えるし、旅行会社として取り組まないわけにはいかない」

 ――協定する旅館・ホテル、施設との関係は。

 「新しい組織『読売旅行協力会』が4月に発足する。これまで宿泊施設と立ち寄り施設で別々だった組織を統合し、会員の皆さんにも弊社にもメリットがより明確になる組織運営を目指す。より強固で密接な関係を築き、ともに発展したい。まずは送客を増やすことが第一だ」

 坂元 隆氏(さかもと・たかし)早稲田大学政治経済学部卒。1983年読売新聞社に記者として入社。ニューデリー特派員、経済部記者、ワシントン特派員、国際部長、論説副委員長などを務める。2014年に読売旅行入社。18年から社長。月刊「旅行読売」を出版する旅行読売出版社の社長も兼ねる。

【聞き手=森田淳】

読売旅行 坂元社長

 

 
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