全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部は2月7日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で行った旅のイベント「宿フェス」のオープニングで、海外の富裕層向け観光事業者コンソーシアム「VIRTUOSO(バーチュオーソ)」、ラグジュアリー施設の予約に特化したOTA「HoteLux(ホテラックス)」と青年部の3者協定を締結した。3者は今後、日本の旅館文化、地域の魅力を世界に発信するさまざまな事業を行う。
青年部の星永重部長(福島県湯野上温泉・藤龍館)と、今回の協定合意に伴うバーチュオーソのコンソーシアムへの参加第1号となった西村屋本館(兵庫県城崎温泉)の西村総一郎社長、バーチュオーソのアイリーン・リーGM、ホテラックスのケビン・ウー会長に協定の意義や今後の取り組みを語ってもらった。
――今回の3者協定の経緯と意義について。
星 日本の旅館文化を世界の多くの層に知っていただきたい。とりわけ富裕層の方々に、日本旅館の文化的価値を感じていただきたいという思いがあった。それを実現するために、どのような方々とつながりを持てばいいかと考えた中で、今回、バーチュオーソ様とホテラックス様に相談を持ち掛けさせていただいた。
西村 「旅館」という言葉が海外でまだ認知をされていない。しかし、実際お越しいただくと、その魅力を強く感じていただける。それは、世界の中でも独特の発展を遂げてきた宿泊産業であり、日本ならではの気候、風土に培われた文化体験ができるからだ。
今回、世界とつながる素晴らしいネットワークを通じて、日本のさまざまな地域や旅館を紹介していただけることは大変意義があり、ありがたいことだ。
リー 旅館の魅力を世界に広く伝えるお手伝いができることをうれしく思う。海外の富裕層の中で、日本文化への関心が確実に高まっている。今回の協定でさらに多くの富裕層が日本に来て、その素晴らしさを体感することだろう。
ウー これまで弊社はリッツカールトン、フォーシーズンズなど国際的なホテルチェーンと提携していたが、今回の協定でこれらとは全く異なる日本独自のおもてなし文化を海外のお客さまが知ることになる。
私自身も西村屋さんに泊めさせていただいたが、自信をもって弊社のお客さまに紹介し、提供できるサービスだと考えている。
――これまで大切にしてきた日本旅館ならではの価値とは。また、今後創出すべき新たな価値とは。
星 日本ならではの衣食住、全てを一度に体験できるのは旅館しかない。ほかの産業にはない、旅館が持つ固有の価値だと思う。
ただ、お客さまにお過ごしいただく中で、われわれが提案する内容もこれから変わってくるだろう。地域の魅力を深く感じていただける体験など、われわれはしっかりと提案していきたいと考えている。
西村 今、宿泊施設を中心に、地域全体の付加価値を上げる取り組みを、国を挙げて進めている。時代に合わせて、また海外の富裕層など新たな客層に向けて、変えるべきところは変えていく。ただ、われわれが大切にしてきた本質的な部分は変えるべきではないと思う。
目指すは世界に冠たる観光地。今回の協定でその先鞭(せんべん)をつけられればいい。
――日本旅館の価値や魅力について、どう感じているか。
リー 海外のお客さまが日本に来て体験したいのは日本ならではの文化だ。旅館は日本の宿文化であり、食文化でもある。まさに日本の文化そのものだ。
昨日、箱根に宿泊して、日本ならではのおもてなし文化を体感した。そして今回の「宿フェス」でも日本のおもてなし文化をさらに感じたところだ。
ウー 日本のラグジュアリーは欧米のそれとは全く違う独自のもので、まさに日本の宝だ。これから時代が変わっても、その伝統は守り続けてほしい。そして海外のお客さまに積極的にアピールしてほしい。私たちは協力を惜しまない。
(左から)バーチュオーソのリーGM、ホテラックスのウー会長、青年部の星部長、西村屋本館の西村社長