全旅連が日産と連携、電気自動車の充電インフラ整備


締結で握手する佐藤会長(右)と日産の志賀最高執行責任者

締結で握手する佐藤会長(右)と日産の志賀最高執行責任者

 全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長)は1日、日産自動車と電気自動車(EV)の充電インフラ整備を中心とした連携事業で覚書を締結した。今後、双方が全旅連組合員約1万8千軒に対し、EVの充電インフラ整備を呼び掛けるほか、エコをテーマにした新しい宿泊プランの開発などを行う。全旅連は組合員施設への誘客と環境問題への対応のアピール、日産はEVの充電箇所の拡大を目指すという、双方の思惑が一致した。

 連携事業は(1)全旅連加入施設に対する充電インフラ整備の促進(2)EV活用のゼロ・エミッションツアーなど旅にまつわる新商品の企画・開発・販売(3)充電スタンド情報の案内および宿泊施設空室情報の提供・即時予約サービスの実現(4)EVの普及啓発──の4つ。今後、各分野で協力を検討するとしている。

 EVの充電は旅館の外壁に多く設置されている100ボルトの電源を利用して行える。充電時間は約16時間かかるが、宿泊客の1泊の滞在時間で十分対応できるという。充電時間が約8時間に短縮される200ボルトの充電器の設置も施設側の判断で可能という。

 全旅連では今後、全国の組合員旅館・ホテルに充電スタンドの設置など、インフラ整備への協力を呼び掛ける。6月8日の全旅連全国大会(岐阜県)にEVのデモ車を置くことも検討している。

 日産のEVは10年度後半、日本、米国、欧州で販売を予定。装備されるカーナビゲーションシステムには、事業に協力した旅館・ホテル名が「充電インフラを整備している施設」と分かるように明示される予定だ。全旅連では、協力旅館・ホテルへの誘客促進になると期待している。

 1日、東京の全国旅館会館で行われた記者会見には、全旅連の佐藤会長、日産の志賀俊之最高執行責任者が出席。佐藤会長は「鳩山首相が国連の演説で、温室効果ガスを1990年比で2020年までに25%削減することを目指すと表明したことに対し、全旅連としても、環境は観光の最も大切な財産という考えから協力しなければならないと思っていた」と、環境への配慮を示すとともに、「旅館の場合、お客さまは午後4時ごろに到着され、翌朝8時ごろにお帰りになることが多く、その間に充電していただければよい。『ゆっくり充電、ゆっくり運転』で、環境にも人にも優しい旅行の実現が可能になると思う」と指摘。「今回、日産と提携することにより、新しく販売されるEVに普通装備されるナビに充電施設のある旅館・ホテルを掲載していただけるとのことで、大いに期待している」と述べた。日産の志賀氏は「今回の取り組みは、国内におけるさらなる充電設備の構築を進めることとなり、宿泊先での充電により、お客さまの利便性を向上させ、EVの走行範囲や利用シーンの可能性を広げていくだろう」と述べた。

締結で握手する佐藤会長(右)と日産の志賀最高執行責任者
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