先住民族文化紹介の2施設を整備 豪州ノーザンテリトリー準州 副首相・観光ホスピタリティ担当大臣 ニコル・マニソン氏に聞く


豪州ノーザンテリトリー準州 副首相・観光ホスピタリティ担当大臣 ニコル・マニソン氏

日本はスキーヤーの人気1位 観光とLNGでつながる両国

 ――ノーザンテリトリー(NT)はどのような地域か。

 「オーストラリアは六つの州と二つの地域からなっている。ニューサウスウェールズ州(州都・シドニー)、ビクトリア州(州都・メルボルン)、クイーンズランド州(州都・ブリスベン)、南オーストラリア州(州都・アデレード)、西オーストラリア州(州都・パース)、タスマニア州(州都・ホバート)、そしてオーストラリア・キャピタルテリトリー(州都・キャンベラ)と私たちのノーザン・テリトリー(=NT、州都・ダーウィン)だ。巨大な一枚岩のウルル(エアーズロック)や砂漠の町のアリススプリングスから、海辺に位置する州都・ダーウィンとその近郊の島までを含む広大な地域となっている。NTの面積は日本の国土の3.6倍だ」

 ――NTの最新観光情報は。

 「アリススプリングス中心部にオーストラリア先住民ギャラリー『アレンテ(Arrente)』を作る計画だ。連邦政府とNT政府が共同出資。2023年にデザインを決定し、24年に着工する。アレンテという名称は伝統的な土地使用者との協議の上、決定したものだ。ダーウィンのウォータフロントにララキア(オーストラリア先住民のアボリジニ)の国、言語、文化、知識を紹介する『ララキア文化センター(Larrakia Cultural Centre)』を建築する5年計画のプロジェクトも進行中だ。24~25年の完成を予定している。訪問者がララキアの歴史を探索したり、その芸術や展示を楽しんだり、槍(やり)作り、織物、絵画などの本物のララキアの工芸品を作成したりできる施設になる。年間を通じてローテーションでの展示会も行う」

 ――日本からNTへの観光客は、コロナ前後でどのように変化したか。

 「パンデミック前は、豪州全体で年間約40万人の日本人を受け入れていた。そのうち約9.5%がNTを訪れた。日本人旅行客の皆さまは、ウルルの伝統的な歴史、価値観を愛してくれている。旅行先としてのNTの強みは、自然の景観だけでなく、直接自然を体験でき、ララキアの伝統文化にも触れていただけること。皆さまのイマジネーションをさらに広げていただけるように、先ほどご紹介したような新たな施設の整備も着々と進めている」

 「国際市場からの旅行者数は、まだコロナ前の水準には回復していないが、NTを訪れる豪州国内客はかなり戻ってきている」

 ――国際市場(インバウンド客)はどの程度まで戻ったのか。

 「22年のインバウンド観光客数は90万人だった。これはコロナ禍前の3分の1の水準。国別では、米国15万人、英国13万人、ドイツ9千人、フランス7千人、ニュージーランド4千人、そして日本は2千人だった。この2千人をまずはコロナ前の40万人の水準に戻したいと考えている」

 ――観光は双方向交流が大切だ。日本人はオーストラリアに旅行に行きたいと思うと同時にオーストラリア人にも日本に来ていただきたいと思っている。オーストラリア人にとって、日本観光の魅力とは何か。

 「オーストラリア人は、素晴らしい日本の文化、温かいホスピタリティ、優しい人々との触れ合いといった体験に魅了されて日本を訪れている。日本は、オーストラリア人が最も訪れたい国の一つだ。特にスキー目的の旅行先では、日本の人気が1位。長期滞在して日本のパウダースノーを満喫しているようだ」

 ――大臣は日本の温泉旅館に宿泊されたことはありますか。

 「東京訪問も今回が初めてで、温泉旅館に宿泊したことはまだない。東京はとてもダイナミックな場所で、建築物も素晴らしいと感じている。実はNTはLNG(液化天然ガス)、鉱産物などを海外に輸出しており、日本のLNGの最大輸入元はオーストラリアだ。日本とNTは観光だけでなく、エネルギーで日常的につながっている。ぜひまた来日して、もっと日本体験を重ねたい。次回はぜひ温泉旅館に泊まってみたい」

 

 Hon Nicole Manison オーストラリア・ノーザンテリトリー準州で生まれ育ち、カーティン大でジャーナリズムとパブリック・リレーションズの学位を取得。2013年に州都・ダーウィンの北部郊外に位置するワングリの議員に就任。16年からノーザンテリトリー副首相。現在は、北オーストラリア・貿易担当大臣、鉱業・産業担当大臣、観光・ホスピタリティ担当大臣、先進製造業担当大臣、公園レンジャー担当大臣を兼務。夫と3人の子供たちと共にワングリ地区に在住。

【聞き手・lankokeizai.com編集長 江口英一】

 
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