大規模災害が多発し、企業のリスク管理が叫ばれる中、帝国データバンクはこのほど、事業継続計画(BCP)に関する企業の意識調査を行った。BCPを策定している企業割合は15.0%で、「策定中」「策定を検討している」など策定の意向がある企業と合わせても45.5%と、半数に満たなかった。「BCPの策定が進んでいない実態が浮き彫りとなった」と同社。
「策定している」企業は昨年5月の前回調査(14.7%)から0.3ポイントの小さな伸びにとどまった。
このほか「現在、策定中」が0.1ポイント減の7.3%、「策定を検討している」が0.4ポイント増の23.2%、「策定していない」が0.3ポイント減の45.3%、「分からない」が0.4ポイント減の9.1%。前年とほぼ変わらない結果となった。
策定していると回答した企業割合を9の業界別に見ると、最も多いのが金融の42.5%。以下、農・林・水産(18.4%)、サービス(17.3%)、製造(17.0%)、運輸・倉庫(16.4%)、建設(14.5%)など。
従業員数別では、千人超が52.6%と最も多く、以下、301~千人43.3%、101~300人28.2%、51~100人20.3%と、規模が大きくなるほど策定している割合が高くなっている。
策定の意向がある企業を都道府県別で見ると、高知が72.5%と群を抜いて多く、以下、滋賀58.4%、和歌山55.6%、岐阜55.2%、奈良と鳥取53.3%など。南海トラフ地震など、今後災害が想定される地域でBCPを策定する割合が高くなっている。
策定の意向がある企業に、事業が中断するリスクに備えてどのようなことを実施、または検討しているかを聞いたところ(複数回答)、「従業員の安否確認手段の整備」が72.2%とトップ。以下は「情報システムのバックアップ」(61.5%)、「緊急時の指揮・命令系統の構築」(47.2%)、「事業所の安全性確保」(41.4%)、「災害保険への加入」(39.3%)、「調達先・仕入れ先の分散」(33.5%)などだった。企業がさまざまな対策を行い、リスクに備えている様子がうかがえる。