仏アコーとMC契約 大和リゾート 代表取締役社長 真柳宏二氏に聞く


大和リゾート 代表取締役社長 真柳宏二氏

リゾート地にメルキュール 地域の魅力を訪日客に紹介

 ――大和リゾートは全国で展開する23軒のホテル、計6千室以上を仏・パリに本社を置くグローバルホテルチェーン、アコーのホテルブランドにリブランドすると9月15日に発表した。

 「アコーの『グランドメルキュール』に12軒、『メルキュール』に11軒をリブランドして、2024年春に開業する。リブランドにより、訪日需要獲得による売り上げの最大化、グローバルスタンダードな人材の育成、リゾート地にある私たちの『はなれ』への旅行促進によるオーバーツーリズムの緩和を目指している。アコーは世界最大級のホテルオペレーター。現在、世界で5400ホテル、80万2千室を展開している。日本では既に『プルマン』『スイスホテル』『メルキュール』『ノボテル』『イビス』『イビススタイルズ』『イビスバジェット』などのブランドを21施設運営している」

 ――アコーとの契約はFC(フランチャイズ)方式か、MC(マネジメント・コントラクト、運営委託)方式か。

 「MC方式だ。大和リゾートは大和ハウスグループの100%子会社だったのだが、7月19日付で、SPC(特別目的会社)の恵比寿リゾートに全株式が譲渡された。恵比寿リゾートのアセットマネージャーはジャパン・ホテル・リート・アドバイザーズが務めている。株式の異動に伴って、所有直営方式からMC方式に移行することになる」

 ――どのリゾートホテルがどちらのブランドに変わるのか具体的に教えてほしい。

 「『グランドメルキュール』にリブランドする12軒は、ロイトン札幌(北海道)、ロイヤルホテル那須(栃木県)、ホテル&リゾーツ南房総(千葉県)、ロイヤルホテル八ヶ岳(山梨県)、ザ・浜名湖(静岡県)、ホテル&リゾーツ伊勢志摩(三重県)、ホテル&リゾーツ長浜(滋賀県)、ホテル&リゾーツ南淡路(兵庫県)、ザ・橿原(奈良県)、ホテル&リゾーツ和歌山みなべ(和歌山県)、ホテル&リゾーツ別府湾(大分県)、ロイヤルホテル沖縄残波岬(沖縄県)。『メルキュール』にリブランドする11軒は、アクティブリゾーツ宮城蔵王(宮城県)、アクティブリゾーツ裏磐梯(福島県)、ロイヤルホテル富山砺波(富山県)、ロイヤルホテル能登(石川県)、ロイヤルホテル長野(長野県)、ホテル&リゾーツ京都宮津(京都府)、ホテル&リゾーツ和歌山串本(和歌山県)、ロイヤルホテル大山(鳥取県)、ロイヤルホテル土佐(高知県)、ロイヤルホテル宗像(福岡県)、ホテル&リゾーツ佐賀唐津(佐賀県)となっている」

 ――グローバルブランドのホテルになるとインバウンド宿泊客比率が飛躍的に伸びる可能性が高い。現在のインバウンド比率と今後目指す比率は。

 「現在のインバウンド比率は20%未満。来年春にリブランド開業するわけだが、前半で30%、後半で40%を目標にしている」

 ――グローバルブランドへの移行に伴ってPMS(ホテルシステム)も海外メーカーの製品に変更するのか。同様のケースで現場が大混乱した事例も聞く。

 「PMSは変更する。来年の2、3月は一斉休業をして、4月のリブランド開業に向けたリニューアル工事などを行う。この2カ月間の準備期間で、しっかりと従業員のトレーニングも行い、現場に混乱が生じないようにしたい」

 ――グローバルブランドへの移行に伴ってGM(総支配人)には外国人を配置するのか。

 「現在の人材にそのまま残っていただくことを前提とした教育プログラムを用意している。実際、アコーが現在日本で運営している21ホテルのうち、外国人GMは1人のみと聞いている」

 ――グローバルブランド化で若いスタッフのモチベーションは上がるのでは。

 「若いスタッフは極力地元で採用しており、各地域のことを熟知している。地域の魅力を国内外の宿泊客に伝えることができることは私たちの強みだと思う」

 ――グローバルブランドのマーケティング手法を取り入れると自社サイトでの直予約比率が上がるのでは。

 「現在のアコーの場合、東京都心のホテルだと自社サイトが4割強、OTAが2~3割、その他がコーポレート(法人)契約などだ。これが札幌のホテルだと自社サイトが2~3割、OTA2割、その他が旅行会社等からの送客となっている。大都市圏からの移動に航空便が必要なロケーションにあるホテルなどは伝統的旅行会社への依存度も高いようだ。大和リゾートの各ホテルは、従来から全国の旅行会社さまとのお付き合いも深い。この部分は今後も大切にしていきたい」

【聞き手・kankokeizai.com編集長 江口英一】

大和リゾート 代表取締役社長 真柳宏二氏

 

 
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