京都市観光協会、DMO登録で記念シンポジウム 京都観光のあり方探る


パネルディスカッションで意見を述べる(左から)若林教授、矢ケ崎教授、アトキンソン氏、門川市長、松坂事務局長、北原会長

会員ら600人参加、期待大きく

 公益社団法人の京都市観光協会(会長、柏原康夫・京都銀行取締役相談役)は18日、東山区のウェスティン都ホテル京都でDMO(観光地経営組織)登録を記念したシンポジウムを開催。記念講演やパネルディスカッションを通じ、DMOが果たす役割や持続可能な京都観光のあり方などを探った。会員ら約600人が参加、今後の活動への期待の大きさがうかがえた。

 協会は昨年11月、観光庁からDMO法人として認定を受けた。今回のシンポジウムのテーマは「京都観光ビジョンNEXT~世界の観光をリードするエキスパート集団を目指して~」。

 主催者を代表してあいさつした柏原会長は「日本を代表するDMO法人として発展するには会員一人一人が中心になって、京都の観光をどう作り上げていくのかが重要だ。伝統ある京都の観光資源を有効に活用していく」と抱負を述べた。

 また、「インバウンド需要は好調だが、台風や地震など自然災害が起きると交通インフラが遮断され、途端に観光客が減るリスクを抱えている。そのへんを意識しながらこれからの観光シーズンを乗り切っていく」とした。

 来賓として門川大作・京都市長、高科淳・観光庁審議官(田端浩長官代理)、寺田一博・京都市会議長が出席、あいさつした。

 門川市長は「日本で最強の観光DMOが発足した。満足感の高い京都観光、持続可能な京都観光の実現に向け決意を新たに取り組む」と、積極的な支援方針を示した。

 糟谷範子・市観光政策監、室博・JR西日本執行役員、高畑重勝・観光協会専務理事がプレゼンテーションした。

 糟谷氏は、京都のDMOはレベル1(ビッグデータを活用したデータ分析など)、レベル2(ワンストップサイトの活用による本格的マーケティングなど)を加えた「レベル3」を目指すと指摘、(1)地域資源を活用する多様な主体のプラットフォームの形成(2)安定的な財源確保による自立的経営の実施(3)専門的人材の確保と育成―などを具体的目標に挙げた。

 室氏は地元(京都)の観点に立った五つの提言を明らかにし、「クラブディスカバーウエスト」の活用によるシニアの誘客、京都日本画新人賞(仮称)の設置、「京の冬の旅」に合わせた京都文化の発信強化―などに取り組むとした。

 高畑氏は協会のミッションとして(1)事業者支援(2)政策課題解決(3)科学的経営の実践―の三つを挙げた。例えば(1)についてはインバウンド補助金制度の創設による受け入れ環境の整備、充実に努めるとした。

 また、20年度末に会員数を1800件(現1441件)、事業規模12億円(同9億9千万円)、京都の愛着度を測る指数NPS(ネット・プロモーター・スコア)は日本人で40ポイント(同22.5ポイント)、外国人60ポイント(同56.1ポイント)にする目標を示した。

 小西美術工芸社社長で京都国際観光大使を務めるデービッド・アトキンソン氏が「世界水準を目指して京都が変わらねばならないこと」をテーマに記念講演。

 「交通機関や旅行会社に牛耳られている組織はうまくいかない」「観光客の満足感を高めるために設備投資を積極的に行う」「どうすれば客が来てくれるかを調査し、問題解決する」「何回も京都に行きたいと思わせるのがDMOの果たす役割。DMOのあるべき姿を京都DMOが示してほしい」―などと述べた。

 パネルディスカッションでは、門川市長、松坂浩史・文化庁地域文化創生本部事務局長、矢ケ崎紀子・東洋大教授、アトキンソン氏、北原茂樹・日本旅館協会会長がパネラー、京大経営管理大学院教授の若林靖永氏がモデレーターとなってDMOの使命について持論を展開。

 「DMOにはこれまでできなかったことをやってほしい。また、課題と認識していなかったものを深掘りして、課題として浮かび上がらせ解決に向け努力してほしい」(門川市長)、「DMOの置かれているポジションを間違えないで、行政と民間の間を調整し、司令塔の役割を」(矢ケ崎氏)、「マーケティングやデータの有効活用もDMOの大きな役割だが、それを活用するのは人。人材の育成が何よりも重要だ」(北原氏)などの意見が出た。


あいさつする柏原会長


パネルディスカッションで意見を述べる(左から)若林教授、矢ケ崎教授、アトキンソン氏、門川市長、松坂事務局長、北原会長

   

 
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