事業者倒産急増 新型コロナ、宿泊業界は未曽有の危機

  • 2020年4月13日

「全ての策講じ難局乗り切れ」

 新型コロナウイルスの影響と見られる旅館・ホテルの倒産や休館が3月末から目立ち始めている。帝国データバンクは4月6日までに16件の宿泊・観光事業者の関連倒産を報告。感染拡大の収束が見えない中、件数のさらなる増加が懸念される。政府が打ち出した緊急経済対策や、個々の事業者が長年培った経営ノウハウ、自助努力で未曽有の危機を乗り切らなければならない。

 帝国データバンクによると、全国の新型コロナウイルス関連倒産は4月6日時点で37件。このうち旅館・ホテルなど観光関連事業者は16件と、飲食関係(12件)などを抑えて最も多い。

 旅館・ホテルの新型コロナ関連倒産が初めて報じられたのは愛知県西浦温泉(蒲郡市)の「冨士見荘」。依存していた中国人ツアー客の予約キャンセルが相次ぎ、2月14日に事業を停止した。

 3月末から4月にかけて、倒産が急増している。このうちの一つ、岐阜県奥飛騨温泉郷新平湯温泉(高山市)の「奥飛騨薬師のゆ本陣」は、赤字決算が続く中、外国人観光客の取り込みで経営の立て直しを図ってきたところ、コロナウイルス感染者が同地区に宿泊した報道がなされ、予約客のキャンセルが続出。いったん休業し、7月以降の営業再開を検討したが、事態収束の見通しが立たないことから再開を断念した。

 北海道湯の川温泉(函館市)の「割烹旅館若松」は、新型コロナウイルス感染拡大による宿泊客の減少で、6月末までの休業を決定した。

 2月28日の北海道知事による緊急事態宣言に従い、3月31日までの休業を決定。4月からの営業再開を見込んでいたが、国内利用客のキャンセルが相次ぎ、「このままではゴールデンウイークの集客もままならない」と判断。休業の延長を決めた。

 運営するHATANO観光グループの市野浩美セールス&マーケティングマネージャーは「宿泊施設は固定資産税、電気料金、設備のリース代など多額の固定費が発生し、休業して売り上げがゼロでもこれらを払い続けなければならない。コロナウイルスが収束した時点で生き残れているか、多くの宿泊施設が戦々恐々としているのではないか」と話す。

■   ■

 苦境にあえぐ宿泊業界だが、独自の工夫で集客に活路を見いだしている旅館・ホテルがある。石川県金沢犀川温泉(金沢市)の「川端の湯宿 滝亭」は2日から、「運がよければ1泊2食5670円&特別客室」プランを始めた。チェックイン時、宿泊客にサイコロを振ってもらい、5か6が出たら1人の宿泊料を格安の5670(コロナゼロ)円にする。1から4が出ても売店利用券2500円分をプレゼントする。「部屋タイプはお任せだが、空室があるため、必ずと言っていいほど客室をグレードアップできる」と同館。平日の1日5組限定で、6月30日までの期間限定。

 「発売日に十数件、その後もコンスタントに予約が来ている。厳しい状況の中、お客さまに少しでも笑顔になってもらえれば」と谷崎康織常務は話す。

 石川県輪島ねぶた温泉(輪島市)の「海游能登の庄」は、若女将手作りのマスクを宿泊客1人につき1個プレゼントし、好評を得ている。手作りのため、日によってない日があるというが、「できるだけ多くのお客さまにお配りできるよう作成している」。

 水上温泉など群馬県みなかみ町の宿泊施設14軒は1日、「みなかみオアシスリフレッシュ宿泊プラン」を発売した。宿泊客1人につき町内の飲食店や土産店、宿の土産コーナーなど約160店舗で使える商品券3千円分をプレゼント。5月31日までの期間限定(5月2~4日は除く)で、商品券は9月30日まで使用可能。

 みなかみ町と同町観光協会が予算を計上。合計3千万円分を用意した。観光協会によると、既に500人分の利用の見通しがあるという。

 京都プラザホテルズ(本社・京都市)は関西地区に展開するビジネスホテル6軒で、テレワークを応援するデイユースプランを始めた。「自宅では周囲が気になり、集中して仕事や電話ができない」というビジネスマンを取り込む。プラン内容はホテルにより異なり、京都プラザホテル本館(京都市南区)は最大9時間利用で料金3千円。

■   ■

 政府が7日に打ち出した緊急経済対策では、中小企業に最大200万円の現金給付や民間の金融機関でも実質無利子・無担保で融資が受けられる制度の創設、税金や社会保険料の1年間の支払い猶予を行う。感染の収束期には旅行の割引助成など、これまでにない大規模な観光・消費の国民的キャンペーンを実施する予定だ。

 先の見えない状況だが、事態は必ず収束する。その時を見据えて、今は自力他力を問わず、全ての策を講じていくしかない。

 
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