中小企業庁はこのほど、四半期ごとに行っている中小企業景況調査の今年7〜9月期分を公表した。同期の中小企業の業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)は前期比3.9ポイント低下のマイナス25.6で、東日本大震災直後の昨年4〜6月期以来、5期ぶりの低下となった。調査では中小企業の業況について「足踏みがみられる」とコメント。業種別では、宿泊業が前期比3.9ポイント低下のマイナス15.4と、2期ぶりに低下した。
業種別では、製造業が前期比4.0ポイント低下のマイナス24.4。非製造業が同3.9ポイント低下のマイナス25.9。ともにマイナス幅が拡大した。製造業は食料品、木材・木製品、家具・装備品が前期を上回ったが、ほかの11業種は低下した。非製造業は建設業のうち、職別・設備工事業が前期と同水準。宿泊業など、ほかの業種は低下し、上昇した業種はなかった。
宿泊業は震災があった昨年1〜3月期にマイナス31.2、4〜6月期にマイナス46.2と大幅に低下したが、7〜9月からマイナス20.4、マイナス18.0と徐々に回復。今年1〜3月期はマイナス25.2といったん悪化したが、4〜6月期はマイナス11.5と再び回復していた。
地域別でも8地域すべてで前期を下回った。このうち東北は前期比5.7ポイント低下のマイナス21.2と、5期ぶりに低下した。
都道府県別では、山形県が前期比0.8ポイント増のマイナス22.8と、東北で唯一の上昇となった。このほか東京(同0.5ポイント増のマイナス18.1)、宮崎(同9.8ポイント増のマイナス15.9)の2都県が上昇した。和歌山(同22.6ポイント減のマイナス31.5)、秋田(同15.7ポイント減のマイナス27.7)、岩手(同12.4ポイント減のマイナス17.4)の各県は大きく低下した。
調査は全国の中小企業1万8965社に行い、このうち1万8368社から有効回答を得た。
調査対象企業の主なコメントは次の通り。
「円高による得意先企業の海外生産により、受注減少が続くのではないかと懸念される」(電気・情報通信機械器具・電子部品、鳥取)
「中国の停滞による受注減、下期の不透明感が強く、閉そく感がある」(輸送用機械器具、千葉)
「円高継続による輸出企業の業況悪化と空洞化によって、国内需要が悪化している」(卸売業、大阪)
「猛暑のため商店街への来店数が非常に少なかった。売上も落ち込んで厳しい状況になっている」(小売業、群馬)
「一番集客が見込める時期に、台風で4日間も休業を余儀なくされた。売上は震災以降もまだ持ち直していない傾向にある」(小売業、沖縄)
「法人のお中元荷物の動きは前年並みであったが、個人のお中元荷物の動きが低迷していた。来期はお歳暮の動きがあるが、個人の需要が前年並みかどうかは不透明である」(対事業所サービス、徳島)
「荷動きが鈍く、売上が伸びない。燃料単価の高止まりが収益を圧迫」(対事業所サービス、秋田)