世界遺産登録実現に向け北海道・北東北の縄文遺跡群をPR 


フォーラムでのパネルディスカッション

 世界文化遺産への登録を進めている「北海道・北東北の縄文遺跡群」に対する北海道民の理解を深めるPRイベント「縄文春まつり2021」(5~7日)や、遺跡群の活用を語り合う「世界遺産登録推進フォーラム」(7日)が札幌市内で開かれた。

 北海道と青森など4道県でつくる縄文遺跡群世界遺産登録推進本部の主催で、北海道と北東北(青森、岩手、秋田県)の17遺跡で構成する縄文遺跡群の魅力をアピールし、登録実現への機運の盛り上げを図った。

 「縄文春まつり2021」は、地下歩行空間北3条広場(同市中央区)で開催。縄文遺跡群を構成する17遺跡の紹介パネルや縄文時代を代表する土偶(複製)の展示、映像作品の放映などを行ってPRした。国宝2体を含む11体の土偶(複製)が勢ぞろいするのは珍しく、多くの市民が立ち寄った。

 「世界遺産推進フオーラム」は、同市中央区のホテルで開催し、世界遺産登録後の活用策などについて専門家らが基調講演やパネルディスカッションを通じて意見を出し合った。会場の参加者を80人に限定して感染防止対策を徹底し、一般には動画投稿サイト「ユーチューブ」で同時配信を行った。

 基調講演した北海道博物館の石森秀三館長は、登録は1万年にわたって続いた縄文文化の価値を人類共通の財産としてしっかり保存、活用、継承していく責任を持つということだとした上で「遺跡の価値や魅力を発信する拠点づくりが必要」と強調。また、「活用には地域住民や民間団体との連携が不可欠である。観光ありきだけでなく、まちづくりの一つとして幅広く捉えて考えるべきだ」などと指摘した。

 その後のパネルディスカッションでは、阿部千春氏(道縄文世界遺産推進室特別研究員)や臼井栄三氏(道育大非常勤講師)、戎谷侑男氏(シービーツアーズ社長)ら5氏がパネリストを務め、道内各地との連携や遺跡の活用を支える地元の人づくり、交通機関や案内標識など訪れやすい環境の整備、コアセンターの必要性などについて熱心に意見を交換し、世界遺産への期待を膨らませた。

 縄文遺跡群は、昨年2月に政府からユネスコに2021年の世界遺産(文化遺産)登録を目指して推薦書を提出している。

 これを受けて、現在、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)による審査が行われており、5月には審査結果が出され、その後、開催される世界遺産登録委員会で登録の可否が決定される。

 これまで国内では世界遺産に23件(文化遺産19、自然遺産4)が登録されており、申請中なのが「奄美大島、徳之島、沖縄県北部及び西表島」(自然遺産)と「北海道・北東北の縄文遺跡群」(文化遺産)の2件。

 「北海道・北東北の縄文遺跡群」(17遺跡)は次の通り

 ▽北海道6カ所=大船遺跡(函館市)、垣ノ島遺跡(同)、北黄金貝塚(伊達市)、入江貝塚(洞爺湖町)、高砂貝塚(同)、キウス周堤墓群(千歳市)▽青森県8カ所=三内丸山遺跡(青森市)、小牧野遺跡(同)、大森勝山遺跡(弘前市)、是川石器時代遺跡(八戸市)、田小屋野貝塚、(つがる市)、亀ヶ岡石器時代遺跡(同)、大平山元遺跡(外ヶ浜町)、二ッ森貝塚(七戸町)▽岩手県1カ所=御所野遺跡(一戸町)▽秋田県2カ所=大湯環状列石(鹿角市)、伊勢堂岱遺跡(北秋田市)


フォーラムでのパネルディスカッション

 
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