データで見る観光客のSNS活用、メリットとリスク


 今や観光客の誘致や、観光名所の認知拡大に必ずと言っていいほど必要になったSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の活用。気軽に誰でも使えるSNSですが、その利用にはリスクも伴います。観光客側目線でのSNSリスクについて調査を交えて解説します。

観光客のSNS利用におけるリスクとは?

 旅行先の写真や思い出を気軽にシェアできるSNSですが、一方で個人のプライバシーや所在地が不用意に知られてしまうリスクも存在します。法務省の人権擁護機関によると、令和2年の人権侵犯事件のうち、約78%(1,741件中1,358件)がインターネットによる事案でした。公開する人を限定する、個人や場所が特定できないように配慮するなど、SNSを使う側にもリスクヘッジが必要な時代になっています。他にもSNSの安全性とプライバシーについては、ネットいじめのリスクと対策もありますので、関連記事としてご覧ください。

 

観光中にSNS配慮をする人はどれくらい?

 観光地側は、YouTubeで名産品、郷土料理を紹介したり、Instagramで映えるスポット写真を投稿したり、さまざまな工夫を凝らしています。一方で、観光客側も思い出をシェアする形でSNSにたくさんの投稿をし、知られざる名所の認知拡大の一翼を担っています。

 そんな環境の中、株式会社JTBの「コロナ禍の生活におけるインターネットやSNSからの“情報”に対する意識と旅行に関する意識調査(2021年3月調査)」によると、旅行での体験をSNS投稿した経験がある人は、全体の26%。主に「観光名所(45.6%)」「料理・メニュ―(45.6%)」「自然や街(34.6%)」を投稿しています。そして、投稿する際にその内容に配慮している割合は、「特に配慮したことがない」が最も多く28.8%。しかし、「個人が特定されないように配慮(26.5%)」「位置情報をつけない(23.3%)」、その他にも「時期、場所、人数」がわからないようにするなど、配慮している側面も見てとれました。自分だけでなく、行動を共にする人の個人情報に対しても配慮する人が一定数いる一方で、約30%がそこまでの意識を持っていません。インターネットにおける人権侵犯事件が増えていることからも、今後はより一層のSNSリテラシーが求められそうです。

 

観光地側のプライバシーリテラシーも求められる

 欧州をはじめ、インターネットにおけるプライバシー保護の動きはますます高まっています。楽しい旅行、観光だからこそ、事件・事故に巻き込まれないよう、気持ちの行き届いたSNS活用が求められています。そしてもちろん、観光客側だけでなく観光地側も、お客さんの写り込みなど、プライバシーに配慮した運用が必要になってきます。

 

 
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