タヒチ観光局は7日、「おもてなしの検証」プロジェクトでLGBTQI+の包括性を再定義したと発表した。
フランス領ポリネシアに浮かぶ大小118の島々の観光促進を展開するタヒチ観光局(正式英語団体名:Tahiti Tourisme、最高経営責任者: ジョン-マルク・モスラン)は、LGBTQI+の旅行者が、タヒチの島々を訪れて感じた“リアルな”感想を収録したプロモーション動画を公開しました。本プロジェクトは、一般に参加者を募集して選ばれた、東京に住むトランスジェンダー男性の友人同士、パリのゲイカップル、ニューヨークのレズビアンカップルという3組をタヒチの島々に招待し、「おもてなしの検証(The Treasured Test)」を行うというものです。旅をする前に感じていた不安と期待は、どう変わったのか、本当に誰もが大切にされていると感じられるのか、それぞれインタビューに答えていただいています。この動画は、タヒチ観光局ウェブサイトやYouTubeをはじめとしたソーシャルメディアで配信されます。
「おもてなしの検証」ウェブサイト:
背景: LGBTQI+旅行者の不安と多様なニーズ
南国で休暇を楽しみたいLGBTQI+の旅行者にとって、現地の文化やダイバーシティへの理解度は非常に大きな懸念点です。各地の価値観の違いから、不安や差別に直面することも少なくありません。さらに、一般的な「ゲイ・フレンドリー」なツアーでは、ナイトライフやパーティーを主体とし、主に若い男性を対象にしているため、LGBTQI+の多様な層やニーズが見過ごされることがあります。
タヒチ観光局は、タヒチの島々が安全で歓迎される場所であり、従来の「LGBTQI+パーティーのホットスポット」という概念を超えて、ジェンダーの多様性を尊重し、豊かな文化を持つ旅先であることを知っていただけるよう、IGLTA(the International Gay and Lesbian Travel Association)に加盟するなど、幅広く活動を行っています。
「おもてなしの検証」を実践
LGBTQI+のコミュニティは、「レインボーウォッシング(ピンクウォッシング)」と言われるような表面的な取り組みに対して非常に警戒心を持っているため、このキャンペーンは真摯に受け入れられ、理解と信頼を築くものでなければなりませんでした。そこでタヒチ観光局は、東京(成田)とタヒチを直行便で結ぶフラッグ・キャリア「エア タヒチ ヌイ」の協力を得て、LGBTQI+旅行者が「リアルに大切にされている」と感じるかどうかを評価する「おもてなしの検証(The Treasured Test)」を企画しました。本企画の核は、実際のLGBTQI+コミュニティから公募を行い、参加者の率直な感想を伺うことです。
多様性を代表する旅行者たち
今回プロジェクトに応募いただいたのは、トランスジェンダー男性であり、映画『52ヘルツのクジラたち』でジェンダー表現の監修を務めた俳優・パフォーマーの若林佑真と、DJ・イベントプロデューサーとして活躍するMizukiの友人同士、そしてフランスのゲイカップルであるセバスチャンとディエゴ、アメリカのレズビアンカップルであるジェンとジェスという、LGBTQI+の様々なアイデンティティを持つ人々です。タヒチの島々での魅力的なスポットを全て体験するため、参加者たちを10日間密着して撮影しました。タヒチで伝統的な舞踊を学んだり、ボラボラ島のラグーンでシュノーケリングを楽しんだりと、彼らは自分たちのアイデンティティを隠すことなく、自由に旅を楽しみ、地元の人々とも交流しました。
「おもてなしの検証」結果
旅の終わりに一行はインタビューでその感想を共有し、地元の人々からの温かい受け入れに感謝の気持ちを表しました。彼らは、自分たちのアイデンティティを隠す必要がなく、心からくつろげたと強調します。そうしたことからも、タヒチの島々が、全ての人が「大切にされている」と感じられる場所であることが分かります。
インタビュー① ユウマとミズキの旅
動画リンク:https://youtu.be/Zg-G4ni65ng
インタビュー② セバスチャンとディエゴの旅(日本語字幕付き)
動画リンク:https://youtu.be/-BiLQ6IR4jA
インタビュー③ ジェンとジェスの旅(日本語字幕付き)
動画リンク:https://youtu.be/QYIP0kGKfCk
<タヒチの島々がジェンダーの多様性を歓迎する背景 >
2024年よりIGLTAに加盟
2024年1月より、タヒチ観光局は、IGLTA(the International Gay and Lesbian Travel Association)に加盟しました。1983年に設立されたIGLTAは、LGBTQI+フレンドリーな観光団体の世界有数のネットワークです。同協会は、世界中のLGBTQI+ツーリズムの平等と安全の促進に継続的に取り組みながら、旅行情報を提供しています。タヒチ観光局では、LGBTQI+フレンドリーな旅行先として、さらなる活動を行ってまいります。
歴史文化に根付く第3の性
19世紀初頭、タヒチの島々にやってきた西洋人は、第3の性として生活する人々に出会いました。この人々は「中間」を意味する「マフ(māhū)」と呼ばれ、男性と女性の両方の特徴を兼ね備えた特別な存在として地域社会に受け入れられ、尊敬される地位を得ていました。この「マフ」というアイデンティティは、トランスジェンダーとはまた別のものとして捉えられ、現在も自然に受け入れられています。さらに、「ラエラエ(raerae)」と呼ばれるアイデンティティも存在しています。ラエラエは、西洋のジェンダーの概念とは異なるものの、トランスフェミニンに近いアイデンティティで、女の子のいない家庭で、女として育てられた男の子のことです。現在でもタヒチでは、大人に成長する過程で、自分がマフやラエラエとして生きることを自由に選択できる、個人の意思を尊重する慣習が残っています。このような文化的な背景から、タヒチの島々においてLGBTQI+の方々もあたたかく歓迎されています。
同性婚の合法化
2013年5月、フランスで同性婚が認められました。そのため、フランスの一部であるフランス領ポリネシア、タヒチの島々でも認められています。ここでは、結婚式の準備をサポートするために新しい法律が制定され、外国籍の方々もタヒチの島々で挙式を行いやすくなりました。
タヒチの島々について
南太平洋の中央に位置する、大小118の島々から構成されるフレンチ領ポリネシア。「タヒチ」と総称されることも多い、島群内の最大の島、タヒチ島までは東京から直行便を利用した場合、約12時間でアクセスすることができます。タヒチの島々は純白の砂浜、見事なターコイズブルーのラグーン、珊瑚環礁から火山にいたるまで変化に富んだ景観で世界的に広く知られています。多くの島で、水上バンガローを備えた豪華なリゾートから家族向けのゲストハウスまで豊富な種類の宿泊施設をご用意しており、プライベートチャーターや定期クルーズによるセーリングなどのバラエティに富んだアクティビティをお楽しみいただけます。タヒチの島々では常に「プライバシー」が自然な形で確保されており、リラクゼーションを促し、一緒に旅行をする方とのつながりを取り戻せるような、“マナ”の精神を感じられる空間をご提供します。“マナ”とは「すべてのものをつなぐ生命力と精神のこと」を意味する現地由来の言葉で、タヒチでは大切なものであると考えられています。
タヒチ観光局について
タヒチ観光局は、フランス領ポリネシアの公式観光促進組織です。世界各国からタヒチの島々への観光客誘致を主なミッションとして掲げ、世界15ヶ所に12つの海外事務所を展開しています。旅行業界向けのマーケティング活動をはじめ、広告、広報活動、販売促進、イベントなど広範な活動をグローバル規模で展開しています。詳細については、公式サイト(www.TahitiTourisme.jp)をご覧ください。