文化事業柱にすそ野拡大
SDGs対応商品も提供
――コープサービスは農協観光のグループ会社だが、どんな事業展開を。
「1967年12月に全国農協観光協会の100%出資で『農協芸能プロダクション』として設立、72年4月に現社名になった。イベントの企画制作、旅行資材の製造販売、企業のノベルティ・記念品・カタログギフト販売など、営業種目は多岐にわたる。2015年からは勧進元として大相撲の地方巡業も手掛けている。大別すると、文化事業と商事事業になろうか。2022年6月に創立50周年式典を都内ホテルで開催した」
――コロナ禍の影響は。
「主力である講演や歌謡ショーなど人が集うイベントは中止・延期になり、打撃を受けた。先行きも見通せないため、軸足を商事事業に移した。幸い、ウイルス・感染症対策用品や空気清浄機など衛生用品の需要ニーズが高まり、文化事業の落ち込みをある程度カバーできた。経営的には苦しんだが、物品販売など商機となることが分かった。これはコロナで学んだ点だ」
「コロナ需要にうまく対応できたが、いずれはコロナ禍も収束し、今の手法も見直さざるを得ないが、想定内だ。イベントの依頼も増えつつある。柱である文化事業をしっかりやり、時機を捉えすそ野を広げていく。新規事業にもチャレンジしていきたい」
――商事部門を持つ旅行会社も少なくないが、コープサービスは同業他社と比べちょっと毛色が違う。
「JAやJA組合員、宿泊、観光施設、バス会社などが私どもの得意先となるが、最大の顧客はJAで、JA主催の『感謝の集い』などのイベントプロデュースが主な仕事となる。例えば、22年は複数のJAが感謝の集いを東京国際フォーラムで開催したが、このイベントを手掛けた。延べ約2万人が来場し、それぞれのコンサートを楽しんでいただいた」
「芸能の世界も競争の激しい社会で、企画力や斬新なアイデアが求められる。当社はイベントをトータルプロデュースする分野で50年を超える実績と経験を持っており、お客さまのニーズに十分こたえられると自負している」
――大相撲とも関係があるのに驚いた。
「15年から地方巡業の取り扱いを始めた。テレビでは味わえない迫力ある取組を楽しんでもらっている。コロナ禍で2年半ほど地方巡業はストップしているが、収束の兆しもみえることから、23年の開催に向け相撲協会と話し合いを進めているところだ」
「相撲は神事であり、五穀豊穣を願って開催される。JAとの関連は深く、感謝の集いの一環として地方巡業を行うこともある。組合員の中には相撲ファンも多く、人気力士との交流を楽しんでいただけるよう、運営をお手伝いし、全面的にサポートしている」
――農協観光協定旅館ホテル連盟の会員も得意先になる?
「極めて重要なお客さまだ。アメニティセットやベッド、高座椅子など旅館・ホテル備品も取りそろえている。SDGs(持続可能な開発目標)にも取り組んでおり、竹粉配合バイオマス歯ブラシや米を使用したストロー、ペットボトル再生繊維を使用したタオルなど、さまざまな商品を提供することができる。ぜひ相談してほしい」
――売り上げはどうか。
「22年度は12億円の目標達成に向けて取り組んでいる。ピーク時(16年度)の18億円には届かないが、伸びしろは大きい。いま社員は25人だが、もっと増やし、事業領域も広げたい。今後、2カ年程度のアクションプランを作り、目指すべき方向をきちんと示す」
――趣味は。
「スポーツ観戦と愛犬との散歩かな。サッカーは静岡在住時に比べると熱は冷めたが、W杯ではにわかファンとなり、国民の1人として応援した(笑い)。支店長時代はゴルフが趣味と言っていたが、いまはあまりコースにも出ないので、趣味とはいえないね。となると、愛犬(ハリー)と過ごすことかな」
「犬種はミニチュアシュナウザーで、テレビドラマ『マルモのおきて』に出てきたあの犬。かわいいなんてものじゃない。家族の一員で、私の生きがい(笑い)でもある」
うめき・せいや 1982年全国農協観光協会入会。1990年農協観光へ転籍。沼津支店長、静岡支店長、中部統括事業部長など歴任。2020年コープサービス出向。執行役員管理部長を経て、22年6月社長就任。山形県鶴岡市出身、61歳。
【聞き手・内井高弘】