コロナ禍の事業者を支援 東京都台東区、食の認証取得に助成金


「♯たいとう愛」のカードを手にする黒岩係長(右から2番目)ら台東区観光課のスタッフ

マッチング商談会開催

 浅草、上野などの観光地を擁する東京都台東区は、区内の観光事業者を支援するさまざまな取り組みを進めている。宿泊や観光体験をセットにした旅行商品造成を促す事業者対象のマッチング商談会を開催。飲食店などのハラール認証取得に要する経費を助成する事業は内容を拡充し、ベジタリアン認証取得なども助成の対象にした。コロナ禍で苦しむ宿泊や観光体験事業者を支援するほか、アフターコロナを見据えてインバウンドの受け入れ態勢を整備する。

 マッチング商談会は区内の宿泊業者、旅行業者、観光体験業者、飲食業者、小売業者などを対象に実施。事業者同士、1対1の商談の場を設定し、宿泊と体験、宿泊と飲食などをセットにした新たなプランを考えてもらう。

 第1回を昨年12月23、24日、58の事業者が参加して開催。既に実績を上げ、着物のレンタル事業者と茶道の体験事業者がタイアップした茶道体験プログラムなど、新たな事業が生まれている。

 コロナ禍の観光事業者支援へ、国がGo Toトラベル事業、東京都が「もっと楽しもう!Tokyo Tokyo」事業を開始。しかし、単価の高い旅館・ホテルなどに利用が集中し、低単価の施設は恩恵が少ないなどの声が上がっている。「台東区内は低単価の施設が多い。宿泊に付加価値を付け、単価を上げることにより、これらの施設にお客さまを呼び戻すことを考えた」と台東区文化産業観光部観光課の黒岩敬係長。

 マッチング商談会は第2回を今月27日、台東区民会館で開催する。

 「第1回の参加者からの評判が良かった。第2回の参加者の声も聞いた上で、ニーズがあれば第3回、第4回の実施も考えたい」(黒岩係長)。

 一方、ハラール認証取得の助成事業は、4月1日からベジタリアン、ビーガンなどの認証取得にかかる経費も助成するなど制度を拡充した。同区によれば、全国の自治体で初の取り組みという。

 ハラールに関する助成制度は15年度から実施。これまでに28件の制度利用がある。「区を訪れる外国人客のおよそ14%がムスリムの多い東南アジアから。その方々に利用してもらい、区内の観光消費を上げるために始めた事業」(黒岩係長)。

 今回、対象を広げたのは、食に関する多様性にさらに対応するため。主要100カ国・地域におけるベジタリアン、ビーガンの人口は2018年に約6・3億人といわれ、受け入れ側の対応が急務とされてきた。同区では既存の制度を拡充して、コロナ後のインバウンド拡大に備えることにした。外国人客に限らず、食の禁忌を持つ国内客の来訪を促す狙いもある。

 飲食店や、宿泊施設内にあるレストランなど、区内の食品等事業者が対象。ハラール、ベジタリアン、ビーガン、コーシャ、そのほか区長が認める食に関する多様性に関する認証の新たな取得にかかる経費の2分の1以内、1件につき上限10万円を助成する。

 同区は「ムスリムおもてなしマップin台東区」と題した地図を作成。ムスリムが利用できるハラール対応の飲食店などを紹介している。例年6万部を発行し、都内の観光案内所や羽田、成田の両空港で配布している。

 区ではSNS(インスタグラム)を活用した「♯たいとう愛」と題した事業者紹介事業も実施。コロナ禍で感染予防を徹底する施設や店舗の情報を広く国内外に発信している。

 

「♯たいとう愛」のカードを手にする黒岩係長(右から2番目)ら台東区観光課のスタッフ

 
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