コロナ禍でも安全な観光を 九州観光、空間除菌の周知へDVD配布開始


作成したDVD

 昨年から新型コロナウイルス感染が世界的に拡大して以降、さまざまな感染対策が行われてきた。しかし米疫病予防管理センター(CDC)が変異株の高い感染力を認めるなど、予断を許さない状況が続く。さらなる感染対策が求められる状況下だが、九州観光(本社大阪、松瀬裕二代表)は、コロナ禍の10年ほど前から次亜塩素酸水溶液を空間除菌に活用し、コロナ禍でも同水溶液を生かした空気感染対策に注力している。同社の感染防止に対する取り組みを紹介する。

議員連盟が発足 次亜塩素酸活用を提言

 次亜塩素酸は、インフルエンザ、ノロウイルス、O―157など、食中毒や集団感染症の原因となるウイルスや菌を 強力な除菌力で不活化させるとされ、昨年6月には製品評価技術基盤機構(NITE)が「次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は塩素濃度35ppm以上の使用で有効」と発表した。今年5月には47人の国会議員が参加して「感染対策を資材と方法で考える超党派議員連盟」の設立総会が開催された。同会ではオゾン、光触媒などとともに、空間噴霧を含めた次亜塩素酸水の積極活用に関する提言がなされ、国として有効性、安全性を公的機関で検証していく方針が示された。

 九州観光は2010年から全国の貸し切りバス向けに次亜塩素酸水溶液噴霧器を開発し、バス用小型噴霧器「ハイクロミスト」などの商品を通して車内のウイルス感染予防、消臭対策を提案し、現在まで250社、3千台を超える貸し切りバスで採用されている。同社は「この10年の間に乗務員、乗客の皆さまから1件の健康被害の指摘もなく、バス車内の精密機器不具合の報告もない」と空間噴霧の安全性を主張する。次亜塩素酸水溶液研究の権威、三重大学大学院生物資源学研究科の福﨑智司教授は「現在までウイルスを防御する対策は実施してきた(最たる対策がワクチン接種)ものの、ウイルスを攻撃する対策は行われてきていない」と指摘。多岐にわたる実証実験の結果を踏まえ、ウイルスの不活化に有効な手段として次亜塩素酸水溶液を用いた空間除菌の重要性を主張する。

噴霧器のDVD作成 空間除菌を広く周知へ

 同社は同水溶液を用いた空間除菌の安全性、有効性をより多くの顧客、乗客に認識してもらうべく、ハイクロミストの使用法を紹介するDVDを作成した。福﨑教授の協力のもと、バスの車内で次亜塩素酸水溶液濃度の測定調査を実施。約2時間の空間噴霧により同水溶液が後部座席まで拡散していること、車内は労働安全衛生法で定める塩素濃度の作業環境評価基準500ppbの1/50以下の安全な濃度範囲であることなどを確認した。修学旅行団体向けにDVDを視聴した南阿蘇交通の深瀬部長は「マスコミ報道などにより、学校の先生方からも含め次亜塩素酸水溶液については不安を感じる部分があったが、DVDの内容は分かりやすく、安心して乗車することができると思った」と感想を述べている。同社はDVDを顧客に無料配布するほか、バス車内で放映し乗客側の理解の促進を図り、DVDの追加販売を行うなどして、バス専用噴霧器が安全であることを訴えていく考えだ。

作成したDVD


DVDのワンシーン。福﨑教授がハイクロミスト使用時のバス車内の次亜塩素酸水溶液濃度を測定している

 
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