キャンセル料請求業務にDX 「わきざしクラウド」リリース直前インタビュー かんざし社長 林垣恵氏

  • 2023年1月25日

林垣社長

通知から回収まで自動化 宿泊業の課題解決に貢献

 「かんざしクラウド」をはじめとする宿泊施設向けのデジタル・ソリューション・サービスを手掛けているかんざし(東京都千代田区、林垣恵太社長兼CEO)は、旅館・ホテルなどのキャンセル料の請求業務を自動化するクラウド型サービス「わきざしクラウド」を開発し、3月ごろにリリースする。キャンセルポリシーに基づいたキャンセル料の回収は、宿泊業経営における長年の課題だ。キャンセル料の請求業務に関するDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進め、宿泊業界の課題解決に貢献したい考えだ。

 かんざしの林垣恵太社長兼CEOに「わきざしクラウド」について、リリース前にインタビューを行い、ひと足先にその概要を聞いた。

 ――「わきざしクラウド」開発のきっかけは。

 宿泊業においては、キャンセル料が回収できないことが少なくないという問題を旅館・ホテルの経営者や担当者から聞いており、当社の技術で何か貢献できないかと考えていた。2022年1月から約1年かけてじっくり開発を進めてきた。

 ――旅館・ホテルからはどのような話を聞いていたのか。

 開発に際して約200軒の宿泊施設を対象にリサーチを実施したが、キャンセル料が発生しても、回収できてないケースが相当数あるという実態が見えてきた。リサーチ先は、ホテルチェーンや小規模事業者などさまざまだが、キャンセル料の案件をきちんと管理し、請求、回収に取り組んでいる施設も一部にはあったが、業務負担が大きく、請求をあきらめてしまうという施設も多かった。現場と経営者とでの認識、意識の違いも感じ取られた。キャンセル料を請求した結果、八つ当たり的なクレームが出たり、口コミに良くないこと、事実と異なることが書き込まれたり、そうした懸念があることも分かった。

 ――キャンセルポリシーに規定したキャンセル料をきちんと収受するというのは、宿泊業界の長年の課題といえる。

 当社は、これまで現場の担当者の負担を解消しようと業務効率化を実現するサービスを多く開発・提供してきたが、「わきざしクラウド」の場合は、キャンセル料の未回収問題という経営者に訴え掛けるテーマに踏み込んでいる。だからキャッチコピーは、宿経営の懐刀。当社の使命感として宿泊施設の課題解決のお役に立ち、ひいては宿泊業界全体に貢献したいと考えている。料金体系も複数のプランを用意し、宿泊施設にとって利用しやすいものにしたい。

 ――キャンセル料の請求業務はどのような流れになるのか。

 お客さまへのキャンセル料の請求から回収までを基本的に自動化する。クリックなどの簡単な操作だけでショートメールなどを送って、お客さま側にこの日のキャンセルについてキャンセル料金が発生したということを連絡する。決済手段もクレジットカード決済や銀行振り込みなどを提示し、リマインド、督促を行う。入金があれば自動消し込みもする。個々の案件にメールや郵送で対応していた施設では、そうした業務負担が基本的になくなる。発生中の案件の対応状況も画面に一覧を表示して管理できる。まさにDXだ。

 ――回収が難しいケースやキャンセル料をめぐるクレームへの対応策はあるのか。

 大型のキャンセルが発生した場合、宿泊施設への影響は大きい。高額なキャンセル料を請求しても、支払ってもらえないなどの難しいケースも出てくる。そうした案件に対しては、この業界に長く携わってきた当社の知識と知恵をスキーム化して提供する。また、クレームや口コミへの対策として、キャンセル料は規定通りに回収するが、「またぜひ来てください」という思いが伝わるよう、対象となったお客さまにクーポン券を送付する機能も抜かりなく付加している。

 ――「わきざしクラウド」の導入目標は。

 「わきざしクラウド」は、当社の2023年度事業における柱となるサービスにしようと考えている。まずは千軒ぐらいの単位を目標に導入を働き掛けていく。

 ――最後に、今後の観光産業の発展には、DX、デジタル化の推進が不可欠と指摘されているが、かんざしが提供しているサービスの宿泊施設における最近の導入状況はどうか。

 観光業におけるDX、デジタル化は、他の産業に比べて遅れていると言われてきたが、コロナ禍もあって対応は進みつつある。当社が展開している「かんざしクラウド」「ぜにがたクラウド」「くちこみクラウド」「シャシーン」などの「かんざし」シリーズの導入施設数は全国で約5千軒だが、観光需要の回復に伴って導入する施設は増加してきている。当社の強みというのは、これまで積み重ねてきた実績、宿泊施設との間の信頼関係だ。特にカスタマーサービスに力を入れており、電話一本いただければ、専属の担当者が問題の解決に当たる。そういう対応については多くの施設からご評価をいただいている。また、観光需要の回復で宿泊業界では人手不足が深刻になっている。人手不足は、当社が提供するサービスとは切っても切れない課題だったため、作業を手助けするための「ばんそうクラウド」もサービス化した。人手が足りない場合も任せてほしい。当社の企業理念は「オン・ザ・クラウド」。簡単に言うと、クラウドでつないで世の中を便利にするということだ。「かんざし」シリーズの提供を通じ、宿泊業界の人手不足への対応にも貢献したいと考えている。シリーズ最新作、宿経営の懐刀「わきざしクラウド」にも期待していただきたい。

▲「督促前」「督促中」「回収成功」などキャンセル案件の管理状況を一覧表示

▲請求業務、督促業務をオートメーション化できる。請求データを投入するだけで、強度を上げながら請求、督促を行う。入金があれば、自動的に督促を終了する

林垣社長

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