政府は新型コロナウイルスの感染拡大で延期していたアイヌ文化の復興拠点「民族共生象徴空間:ウポポイ」(北海道白老町)を7月12日に開業することを決定し、正式に発表した。前日の11日には、開業を祝う開園記念式を開催する。
ウポポイは、当初、4月24日に開業を予定していたが、コロナの感染拡大から2度にわたって延期され、未定となっていた。そうした中で6月に入り、全国的に感染状況が落ち着き、19日には都道府県をまたぐ移動自粛も解除になったことなどから、開業に踏み切った。
開園記念式の詳細は検討中だが、菅義偉官房長官や赤羽一嘉国交相、萩生田光一文科相の出席が予定されている。
19日の記者会見で赤羽国交相は、「先日の町民向け内覧会で地元の理解も深まった。最高のお祝いの気持ちの中でスタートでき、地元にも愛される施設となるよう、感染症対策を含め、万全の準備をしていきたい」と強調。7月4日には全国の旅行会社が参加する観光セミナーと内覧会を開催し、自身も参加することを明らかにした。
ウポポイでは密を防ぐ観点から、当分、体験交流プログラムの一部変更や、混雑時の入場制限、入り口でのサーモグラフィーによる検温や手指の消毒、マスクの着用などの感染防止対策を徹底する。開園時間に変更はなく、平日が午前9時から午後6時(7~8月と9~10月の土・日・祝日は午後8時)までで、休園は毎週月曜日となる。
開業日の決定を受けて地元では、待ちに待った開業を喜ぶ声が多く、観光客の受け入れ態勢をしっかり整え、地域の活性化につなげようと期待が大きい。
鈴木直道・北海道知事は「感染防止の取り組みをしっかり進め、開業の日を迎えたい。コロナの感染拡大で道内経済が大きな影響を受けている中、アイヌ文化の復興・発展はもとより、観光振興や地域振興のけん引役として期待している」と、開業への喜びを込めたコメントを発表した。
中核施設の国立アイヌ民族博物館