インバウンド、地方重視で再構築を  ウェビナーで原准教授 

  • 2020年9月16日

セントラルフロリダ大学の原准教授

DMO財源でも提言

 観光学が専門で日本の観光振興策にも影響を与えている米国セントラルフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部准教授の原忠之氏は8月20日、在日米国大使館・領事館商務部と観光庁が開催したオンライン講座「日米ホスピタリティ・マネジメントウェビナー」で講義を行った。新型コロナウイルスの流行で観光産業が苦境に立つ中、日本におけるインバウンド、DMO(観光地域づくり法人)の重要性について再確認するよう提言した。

 講義の前提として原氏は、中央・地方政府の目的というのは「納税者の生活水準の維持、向上」にあるとした上で、観光を振興する意義について、観光産業は域外から外貨を獲得し、その経済効果によって政府の目的達成に貢献できることにあると説明した。

 コロナ以前の日本の訪日外国人旅行消費額は約4.8兆円(2019年)。輸出産業では自動車産業に次ぐ規模。政府目標の15兆円を実現すれば、自動車産業を超える。国内旅行は「国内での富の移転」だが、インバウンドは「外貨獲得による国富増大。明治時代に箱根や日光にグランドホテルをつくった初心に戻るべき」と指摘した。

 また、日本の人口減少は地域的な偏在が同時に進行する。「人口減少率が高い地域にインバウンド客を送ることが重要。新型コロナで訪日外国人旅行者がゼロになり、インバウンド政策を改めて考える時、いかに地方に外国人客を呼び込むかを考えるべきだ」。

 DMOについては、政府のインバウンド戦略を推進する上で、訪日外国人旅行者の誘客による「外貨獲得輸出産業の中心コア組織」と重要視した。日本政府がDMOの組織立ち上げや人材育成に予算を投じているのはそのためだと説明した。

 DMOの運営財源の在り方については、講座の視聴者からの質問に対し、「日本のDMOは、観光協会からの横すべりが多い。最初の何年かは国から交付金などがもらえたとしても、その後、自ら組織をまわすだけの財源を確保できるのか、真剣に考えるべき」。

 米国フロリダ州オーランドのDMOの場合、年間予算の3分の1は大型テーマパークの切符販売の手数料、法人会員向けサービスなどで自ら稼いでいる。残る3分の2には、使途限定の特別地方税として観光客に課税されているホテル税の税収が投入されている。

 オーランドのDMOの財源確保から考えるべきポイントについては、「地元に住んでいる人の負担がゼロということ。日本のDMOでは地元行政の一般財源から予算を得ていることが多いが、一般財源の元は地元に住んでいる人の税金だ。地元に負担をかけているか、かけていないかが非常に大きい」として、自主財源の在り方を検討するよう呼び掛けた。

 今回のオンライン講座は、19年10月に東京、大阪で開かれたホスピタリティ・マネジメントサミットを引き継ぎ、ウェビナーシリーズの第1回として開催された。

 原氏以外にも、観光庁観光地域振興課観光地域政策企画室長の富田建蔵氏、トラッキー・メドウズ・コミュニティカレッジエグゼクティブ・ディレクターのナタリー・ブラウン氏、アゴダ・インターナショナル・ジャパンアソシエイト・ディレクターの中林さとみ氏、ニューヨーク市観光局マネージング・ディレクターのマキコ・マツダ・ヒーリー氏が講演した。

セントラルフロリダ大学の原准教授

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