じゃらんnet説明会紛糾、旅館組合が猛反発


60人が参加。一時は騒然としたムードに

60人が参加。一時は騒然としたムードに

 神奈川県の箱根温泉旅館協同組合(榎本孝弘理事長、加盟施設数108軒)は11月26日、じゃらんnetが来年4月に予定している手数料改定などに関する疑問点について、冨塚優リクルート旅行カンパニー長と直接協議する「説明会」を同温泉の吉池旅館で開いた。組合員など60人が参加。リクルート側からは11人が出席した。一方的な弁明を繰り返すリクルート社に対して集まった旅館経営者らは猛反発し、説明会は紛糾した。

 「『実るほど頭を垂れる稲穂かな』。これを肝に銘じて努力してきたつもりだったが、それができていなかった」。冨塚カンパニー長は冒頭このように述べ、深々と頭を下げた。2000年11月に開設し、現在の契約宿泊施設数は約2万1千軒。楽天トラベルと並ぶ“宿泊予約サイトの2大横綱”となったじゃらんnetだが、成長と共にパートナーであったはずの旅館・ホテルに対する謙虚さが薄れてしまったことを素直に認め、改定を巡って不安を与えたことに対しては陳謝した。

 ただ、本説明会の本来の目的である協議では、社内事情を優先する独特の論理を展開した。

 「じゃらんnetは、ヤフー、グーグルなどのリスティング広告のキーワードを毎月35万ワード購入している。広告単価が8年間で15倍に高騰しており、1件の予約を取るのに約2500円のコストがかかっている」。新制度の内容変更や適用猶予に関しては「社内のコンセンサスがとれない」「すでに新システムをシステム会社に発注してしまったので、開始時期は変更できない」などと説明した。

 これに対して組合側は主に5つの要望を申し入れた。(1)新制度における「じゃらん×ホットペッパーポイント」はリクルート社内で「預かり金」と「売上」のどちらで会計処理をするのか教えてほしい。それが分からないと旅館・ホテル側も会計処理ができない(2)「じゃらん×ホットペッパーポイントプログラム利用約款(掲載施設用)」の第11条「本ポイントプログラムの変更」に「当社は、本掲載施設への事前通知なくして、本ポイントプログラムの内容変更、一時的若しくは長期的な中断、または終了することがあるものとする」と記載されているが、あまりに一方的で、旅館・ホテル側に不利だ。本条文を削除するか、「双方協議の上」という文言を入れてほしい(3)同約款の第5条4項に従うと、例えば、2万円のプランで予約した宿泊客が後日1万円のプランに変更し宿泊した場合、月末の締め日からわずか5日以内に手続きを完了しないと、ポイント付与分は2万円に対する2%が宿側の負担となるため、同項を修正してほしい(4)旧じゃらんポイントとの併用期間が11年4月1日から13年12月31日まで設定されているが、この間に利用者が旧ポイントの権利行使をした場合、宿側の負担は最大で19%になる。一方的で旅館・ホテル側に不利なので修正してほしい(5)先ほど冨塚カンパニー長から「新制度の導入は、じゃらんnetの場を強くすることが目的」という説明を全員が受けた。リクルートの販促費用でまかなうべき性質のものであり、ポイントという形で旅館・ホテルに転嫁するのはおかしい。2%という新ポイントの料率そのものを見直してほしい──。

 冨塚カンパニー長は、これらの要望について12月28日までに回答する、と約束した。

 質疑応答では、老舗旅館の若女将が声を震わせながら「期待していた皆さんに裏切られた思い。残念でならない」と悲痛な面持ちで語りかけた。

 年配の旅館経営者は「誠意がまったく感じられない。君たちは一体ここに何をしに来たのか」とたしなめた。

 緊張感に包まれながらも双方紳士的に進行していた説明会だったが、「じゃらんの営業担当者から『(今回の新制度に)同意しなければ参画解除ですね』と突き放された。やりとりは録音してある」という旅館経営者の発言で状況は一変した。別の旅館経営者も「ノーショウの文句を言ったら参画解除をちらつかされた」と暴露。怒号が飛び交い、会場は一時騒然となった。

 説明会終了後、組合幹部の1人は「事前に何度も説明を求めてきた事項に対して何の準備もしてきていない。失笑するしかない」と観光経済新聞の取材に対して語った。

「『じゃらんnet』の手数料引き上げに関する回答依頼事項の確認」箱根温泉旅館協同組合 >>PDFを見る

60人が参加。一時は騒然としたムードに
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