【withコロナ時代の旅館経営への提言】最大限の衛生管理対策 全旅連 青年部長・名泉鍵湯奥津荘 代表取締役  鈴木治彦氏


鈴木氏

 当館では、中国5県の県をまたぐ移動が解禁された頃からお客さまが動いてきた。

 お客さまは旅館・ホテルの衛生管理について、相当気にされている。換気を徹底しているか、従業員がマスクや手指消毒をしっかりしているかなどは、特に注視している印象を受ける。

 われわれは新型コロナの感染が収束するまで、業界のガイドラインに沿って営業をしなければならない。宿の規模や形態により、ガイドラインの全ての項目を順守するのは容易ではないが、それぞれの施設に合った最大限の対策を経営者の判断でしっかり行うことが必要だろう。

 私どもは8部屋の小さな旅館だが、パブリックスペースは常時換気するほか、客室でもなるべく窓を開けてお過ごしくださいとお客さまにアナウンスしている。玄関や浴場、食事どころの前には消毒液を設置。お客さまのチェックアウト後はオゾン発生装置を使い、ひと部屋ずつ丁寧にメンテナンスをしている。

 全旅連青年部は、「館内消毒」「換気」「ソーシャルディスタンス」など、各旅館・ホテルのコロナ対策を“見える化”するピクトグラムをこのほど作成した。青年部のホームページにアップしているが、組合員以外の宿も使えるよう、無料でダウンロードできるようにしている。

 全国の旅館・ホテルがお客さまの来訪を待っているというメッセージ動画もこのほど作成した。動画は青年部が同業の皆さまを激励する意味も込めている。

 ウィズコロナのガイドラインが示されたが、今後は通常営業に戻すタイミングなど、経営者が個々で判断しにくいポイントを示す、アフターコロナのガイドラインを作成したいと考えている。

 今は海外からのお客さまが見込めず、団体旅行も厳しい状況だが、逆に地元や近隣の多くの方々から安心して行ける温泉地だと評価をいただいている。地域の方々に地元の良さを知っていただくいい機会だと、あまり悲観することなく、前向きに捉えている。

 全国各地で地域限定の割引クーポンが発行された。中・小規模の旅館・ホテルは、そのおかげでかなり盛り返したと聞く。

 旅館・ホテルの多くはコロナの影響で新規の借り入れを余儀なくされた。Go Toトラベルキャンペーンも、われわれにしっかり資金が残るキャンペーンにしてほしい。旅館・ホテルの直接支援へ、宿への直予約も制度に適用していただきたいと、青年部は日本旅館協会とともに、構想が挙がった当初から関係各所にお願いをしたところだ。

 われわれ青年部は業界のためになる事業を今後も行う。観光業界をはじめ、日本経済全体が良くなるよう、皆さまとともに努力したい。

鈴木氏

 
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