「酒」が訪日誘客の起爆剤
新年を日本酒の盃でお祝いした方も多いかと思いますが、日本産酒類は、古来より日本人の生活と密接な関係があります。お酒は、人々の交流を促進するという意味では、ツーリズムと類似したところがあり、地域のブランディング化に資するものです。
全国に1500余りの地域ならではの特徴がある酒蔵があることは地域ブランドであり、酒の味を特徴付ける自然条件、文化的な背景は、地域のストーリーであり、観光地の魅力付けをする観光資源として注目されています。
近年、日本産酒類は、国内では必ずしも消費が伸びていない一方で、海外での関心は目を見張るものがあり、2021年の海外への日本酒の輸出額が166億円増加(前年比+66%)となっております。またインバウンドの来訪者で、日本に来て体験したいことの上位に日本酒を飲むことという調査があり、実際体験をされ満足されているという結果があります。
平成29年度より協議会の事務局を観光のナショナルセンターである日本観光振興協会に置くことにより、観光セクターと酒蔵との橋渡しをする組織としての役割を担うこととなります。
「酒蔵ツーリズムとは、日本酒・焼酎・泡盛・ワイン・ビールなどの酒蔵を巡り、地域の方々と触れ合い、お酒を味合う。そして、そのお酒が育まれた土地を散策しながら、その土地ならではの郷土料理や伝統文化を楽しむ旅行」と定義しました。
具体的な活動としては、山形県の事業では、インバウンド客受け入れのための多言語解説の整備、2次交通解決のモデル事業等を行い、播磨地域では酒米収穫体験のモニターツアーを実施しました。また、英語、中国語での日本酒の製造方法のアニメーションを作成し、その特徴を理解していただくことを目指しました。
共同プロモーションとしては、ツーリズムEXPO、ドイツ・イギリスの酒類展示会、台湾国際旅行博(ITF)のブース出展があります。
海外へのマーケットに日本産酒類が浸透する契機となる動きがあります。伝統的酒造りが令和3年12月に文化庁の登録無形文化財に登録され、ユネスコの登録を目指しています。
海外で日本酒を飲んだ方に、日本の文化、自然に興味を持っていただき、さらにその地域の郷土料理とともにもっとおいしい日本酒を飲みに一人でも多くの方に来ていただくことができれば、外国人の日本での旅行の満足度はますます高まることでしょう。
このようなことを、日本酒蔵ツーリズム推進協議会では目指していきたいと思います。