三つの視点で「地域共創」を実現
旅行会社が「旅行」を創らなくなった。旅行業に携わる一人として、このことに危機感を募らせている。
募集型企画旅行において市場ニーズや速攻性を追求した結果、ダイナミックパッケージに傾注せざるを得ない実態があり、「旅行」の根幹である「旅のプロデュース」が希薄になっている現状は否めない。
こうした状況の中で弊社は、地域の魅力を最大限に引き出し、テーマ性やストーリー性を持たせてルート化し、ターゲットとなるお客さまを意識した「旅行商品」を企画造成、販売している。この「旅行商品」とは、「宿泊施設」+「交通手段(飛行機、鉄道、バス等)」のみにとどまらず、「観光施設」「食事施設」「土産施設」「地域のガイド人材」など、これらハード、ソフトをルート上に組み合わせることで成り立っている。
そして、この「旅行商品」において重要なのが、地域との連携だ。地域へ旅行会社が持続的に誘客することで、地域への経済波及、地域のファンづくり、交流人口の創出が可能となり、これが地域の自立自走へのあしがかりとなる。
これを推し進める部署として、昨年4月1日付で「地域共創事業部」が発足した。
部署名の「地域共創」には、「地域と一体となって地域を元気にしたい」という思いが込められている。発足1年に満たないが、自治体と連携協定を結び、出向者を全国各地に輩出するなど人的交流も進めている。
また、当部の活動方針は、次の三つである。
一つ目は、「地域の観光づくり」である。地域資源の磨き上げはもちろん、人材育成や受け入れ体制の整備にも弊社の知見を活かし、魅力的なコンテンツ開発に取り組んでいく。
二つ目は、「誘客の促進」である。誘客こそ、地域に経済効果をもたらす地域貢献の要諦だ。そのために、弊社は「旅行商品」の企画造成、販売をし続ける。
三つ目は、「地域のファンづくり」である。地域のファンができれば、産品の購入など旅行以外の地域との接点も生まれる。
私どもは、これら三つを指針に、地域の課題解決のパートナーとして「地域共創」をさらに推し進めていく。
新型コロナ感染拡大は、入出国規制や緊急事態宣言の発令で国内外の人流を抑制し、旅行業界に大打撃を与えているが、これに屈することなく、旅行会社として地域と一体となって地域を元気にしていく考えだ。
地域発展の源は「旅行」にあり!「旅の力」を信じて、知恵を出し合い、情熱を燃やし、地域と一緒にまい進していきたいと思う。
樋山部長