
アメニティ・リサイクル協会 代表理事(東京マツシマ代表取締役社長)大槻 務氏
アメニティ・リサイクル協会の挑戦
2022年11月、宿泊施設向けのアメニティ販売会社、国際興業、JTB商事、東京マツシマ、よねや商会の4社を中心に、「一般社団法人アメニティ・リサイクル協会」を設立いたしました。
この協会の目的は、宿泊施設で使われるアメニティ、特に歯ブラシやヘアブラシなどの使用後のプラスチック廃棄物を減少させ、資源として再利用することです。
これらのアメニティ製品は一度使用すると捨てられることが多いため、協会はこれを回収し、新しいアメニティに再生する水平リサイクルスキームを提供しています。
全国の宿泊施設からこれらのアメニティを回収。回収後、専門のリサイクル施設で分別や洗浄を行い、高品質な再生プラスチック原料に変換します。この原料を使用して新しいアメニティ製品を作成することで、新しい資源の消費を削減し、持続可能な資源循環を実現しています。
この取り組みは、プラスチックの1次生産の削減という形でCO2排出量の削減にも寄与し、地球温暖化の抑制にも一役買っています。
22年4月1日に施行されたプラスチック資源循環促進法では、「使用の合理化での提供量の抑制」「廃プラスチックの排出量の抑制」に貢献できるスキームとなっており、23年8月より「東京ベイ潮見プリンスホテル」で水平リサイクルの運用を開始いたしました。
また、協会は地域との連携を強化し、リサイクルの重要性についての情報を発信しています。特に、23年6月29日には東京都と「ホテルアメニティの3R推進に関する連携協定」を締結。これにより、東京都内のホテルや旅館の使用済みアメニティの回収と、それをもとに新しい製品の生産を共同で推進する取り組みが始まりました。
協会の長期的なビジョンとして、30年までに全てのアメニティをリサイクル対応商品とする目標を掲げています。この目標の実現により、宿泊業界全体の環境への影響を最小限に抑え、サステナビリティの基準を高めることを期待しています。
宿泊施設のサステナビリティを向上させるための取り組みは、単にアメニティのリサイクルだけでなく、多面的な視点からの新しい価値創出にも焦点を当て持続可能な未来に向けた活動に努めていく所存でおります。
アメニティ・リサイクル協会 代表理事(東京マツシマ代表取締役社長)大槻 務氏