さらなる誘客に向けて
紅葉に染まる東北の街や観光地にも、外国人観光客の姿を多く見かけるようになりました。コロナ禍の2021年に今後5カ年の計画を定めた東北観光推進機構の第5期中期計画では、コロナ前の2019年の水準まで早期に回復することを目標として取り組んでいますが、データがとれる直近3カ月(2023年6~8月)の東北6県の外国人延べ宿泊者数では2019年比95・6%まで回復し、明るい兆しがみえてきました。今後はこれまで地域で磨き上げた観光コンテンツや地域の宝を東北広域でストーリーとして紡ぎ、効果的かつ効率的に市場まで届けると共に、商流に載せていくことが求められます。
そのために、東北観光推進機構としては以下2点を重点的に取り組んでいます。一つ目は東北観光のDX化の推進です。中でも東北観光DMPは海外、国内旅行者の動態データ、WEB、SNS等のアクセスデータ、消費購買データ等を一元的に管理する情報プラットフォームで東北6県および新潟県やエリア内のDMOの皆さんにも施策立案のための分析に活用いただけ、デジタルマーケティングの大きな武器になりつつあります。東北観光DMPを活用し、カンと経験だけに頼らない説得力のある観光マーケティングをオール東北で推進していきます。
二つ目は東北観光の高付加価値化、観光消費額向上に向けた取り組みです。東北観光推進機構では2021年度より温泉地をベースにロングステイを推進し、域内の観光消費額の向上を目的とした「Base!TOHOKU」事業を展開しています。現在温泉地を中心に17地域に展開し、15社の旅行会社等で統一ブランドにて販売いただいています。今年度からは訪日客の趣向にあわせた七つのテーマのドライブルートを提案し、東北の広域周遊観光を推進していきます。また、日頃からの域内DMOとの連携関係を生かして、訪日客に適した高付加価値な体験コンテンツを東北各地から収集し、一元的に発信、さらには海外OTAへ紹介する等商流開発に努めています。
求めていくのは「付加価値が高い」というより「経験価値が高い」コンテンツです。いかに感動していただけるか、「また来たい」「誰かにお薦めしたい」と思っていただけるかにこだわります。そのためにはストーリーを語れる「ガイド」の存在や地域の方との交流が不可欠です。「ヒトとの交流」は東北の大きな魅力であり強みです。ガイドの育成や受け入れ環境の整備等を通じ、この強みを生かし、さらなる誘客拡大に向けて、地域の皆さんと一緒に挑戦していきます。