【高校教育旅行特集】南予でSDGsを自分ごと化(愛媛県・南予地域)


秋になると黄金色に輝くみかんの段々畑

農林漁業の営み体験

 愛媛県南西部に位置する南予(なんよ)地域は、4市(宇和島市、八幡浜市、大洲市、西予市)、5町(内子町、伊方町、松野町、鬼北町、愛南町)からなり、海、山、川の自然に恵まれ、農林漁業の営みが盛んです。

 温暖な気候に恵まれたリアス式海岸では、生産量日本一を誇るマダイやシマアジ、真珠などが養殖されています。また、日本農業遺産に認定された「愛媛・南予の柑橘(かんきつ)農業システム」は急傾斜地の段々畑が特徴で、壮大な景観とともに日本一の“柑橘王国・愛媛”の屋台骨を担っています。宇和島城や内子、大洲、宇和の古い町並みなど、歴史文化遺産も多く、日本一細長い佐田岬半島や四国西予ジオパーク、滑床や成川の渓谷など多様な自然環境を有しています。

■民泊受け入れ400人が可能

 南予地域では、豊かな自然と多様な農林漁業の営みを生かした体験交流型教育旅行の受け入れを進めています。「ふるさと南予感動体験」と銘打ったプログラム群の特徴は「ほんもの体験」であることです。その根幹は、南予の暮らしをどっぷりと体験する「民泊」にあります。域内で最大100軒400人の受け入れが可能で、ありのままの暮らしの中、生徒の皆さんをお客さまではなく、家族の一員として迎え入れます。

 一方「体験」は、民泊先家族と一緒に過ごす「ふれあい交流体験」(家業体験)、南予ならではの農林漁業体験、豊かな自然を存分に楽しむ自然体験など多様なプログラムを用意し、季節や希望に応じたコーディネートを実施します。

■南予の課題解決型学習

 南予地域では、人口減少により地域力の低下が進み、地域産業の担い手確保が大きな課題です。また、一人あたり所得は県内でも低い水準にあり、観光面でも県外客比率が低く観光消費は低迷しています。さらに、今なお平成30年7月豪雨災害からの復旧、復興に向けた取り組みが続いています。

 そこでわれわれは現在、南予地域が抱えるさまざまな課題の中から、生徒自身が優先して解決すべき課題を見つけ出し、修学旅行時のフィールドスタディを通して提案へとまとめるという、「南予版PBL」(Project Based Learning…課題解決型学習)のプログラム化を進めています。事後学習では、さらにSDGsの枠組みの中で身近な事例と結び付けることで、SDGsの“自分ごと化”を図り、それにより生徒個々人が今後のキャリア形成の方向性について深く考えてもらうことを狙っています。

■モデルコース

 広島平和学習と南予民泊が定番のコースとなります。広島から松山までは高速船で80分、松山から南予各地域まではバスで1~2時間程度です。民泊2泊の場合は、中日・午前中の「ふれあい交流体験」でコミュニケーション能力の涵養を、午後の各種選択体験で主体性、自主性、チームワークの育成を目指し、教育効果を高めます。

秋になると黄金色に輝くみかんの段々畑

八幡浜市ふるさと観光公社

 


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