【食と観光 訪日客4000万人時代の和食 8】ボーダレスはますます進む 日本のこと、食文化の勉強必要 荒木茂生


 今、私どもの厨房に2人の外国人が働いている。1人はスペインから来た30歳の男の料理人、もう1人は「ワーキングホリデーで日本の文化の中で働きたい」という25歳の台湾からの女性だ。

 2人は本当に日本料理を勉強したくて京都市の特例措置のビザで、私どもにて働いている。特に女性の方は日本の文化に触れたくて仕方がないようだ。
 何事にも興味津々、器を見ては「何に使うのですか」、調理器具を見ては「これは何」と日本人の調理師や仲居に聞いて勉強している。2人の好奇心が尽きることはなさそうだ。

 2人とも働く期間は1年だ。仕事を覚えた頃にはいなくなる。戦力にはなりにくいかもしれない。しかしながら、2人の探求心、好奇心が他の者の心をも動かしているように見える。

 2人のために翻訳アプリを入れて、苦労しながらコミュニケーションを取ろうとしている料理人の姿、2人に教わって今まで使ったことのない食材に目を向ける姿、それ以上に2人の料理を勉強したいと努力している姿が、皆に共感をさせているように感じる。

 外国人観光客がより多くなることは、いい部分もあるだろうが、首をかしげる部分もあると考えている。しかし、私どもにいる外国人従業員が母国に帰った時、日本の食文化について、多くの人々に影響を与えるのは必然だと思う。
 世界からのお客さまが喜んで帰っていただくためには、お客さまにも少し勉強してもらうことも必要と感じる。そのためには、2人のような日本をより勉強してくれる人たちをも育てることが必要と思う。

 今後、ますますボーダーレスは進んでいくだろう。私たちも日本の事、食文化を勉強していく時代になった。2人以上に努力する必要性を感じている。

 日本の食はユネスコ無形文化遺産に登録された。もう一度、私たち食に従事する者が見直さなければならない食文化はたくさんあると思う。それが、これからの「日本の食と観光」の食に値すると考えている。

 (国際観光日本レストラン協会理事 魚三楼、荒木茂生)

 
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