【道標 経営のヒント 352】ワインのブランディングから学ぶ 佐々山 茂


 クライアントであり私の活動について相談しているI氏に誘われ、渋谷にある老舗のワインバーに行きました。学生時代からなじみの渋谷もテカテカになる中、マークシティ脇の歴史と文化を感じさせる一画に見覚えのある外壁レンガの建物に店はありました。1階はソムリエも来るカウンター席で2階のテーブル席に座り、最初はシャンパンで、次は酒量が減ったこともありグラスワインにし、I氏はスタッフとワイン談義をしながらブルゴーニュのピノノワール3銘柄を選びました。土壌や山の上と下によってワインの出来が違うことを聞きながら飲み比べをすると、3銘柄の香り、時間と共に変化する味が分かりました。ワインはよく飲むのですが今回は耳から入る情報と鼻と舌から入る微妙な変化を感じ、目からうろこの経験でした。

 お礼をラインですると<ワインは農業のブランド化という、第1次産業をこんなにもおしゃれにというか洗練されたものへと昇華させたという点で、多くの人、特にブランディングを必要とする人たちが知るべきお手本と思う。プリミティブな産業、言ってみれば泥臭い仕事から生み出されていることに思いをはせるとそれぞれの業界でやるべきことのヒントを見いだされるのではないか>と返事がありました。 

 私から観光産業が今までの数集めからなかなか脱却できず、これからは高付加価値化し、富裕層に受け入れられないと産業として成り立たないと返すと<付加価値の意味付けをキチンとするところから始めないといけない気がする。必要のないサービスを付けて付加価値と言われても。本質的な価値を付加することにもっと注力すべきで、そこが日本の家電メーカーとか自動車メーカーのブランド戦略の欠点。本丸のクオリティを上げることこそ付加価値増加の一番の王道ですよね。観光関連はそこに地場の特徴を的確に表してあげることこそ重要で、建材、食材、酒、工芸品、それぞれどんなものをチョイスするか、ひいては、それらの産業にも影響を与えられるくらいの気概がほしいものですね>との返事。

 40代で活動的なI氏は別荘を持ち、国内、海外と家族で旅をし、新しい価値観を持つ富裕層ですが、次の世代の価値観に共通するものがあります。単に癒やしだとかホスピタリティを求めるだけでなく、本質的な価値観の共有を求めているのです。

 フランスワインは地域、土壌、日当たり、ぶどうの品種、醸造家によって細かくブランド化が進んでいます。日本の観光も地域の文化、景観、食材など、その価値をキチンとブランディングしないと高付加価値化につながらないと思います。建築の設計に携わる者としてその責務を感じています。

 
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