【道標 経営のヒント 339】めざせ、オンリーワンの宿 宮坂 登


 都内ではオリンピックに向けてホテルのオープンラッシュが続いたが、今年も新しいホテルの誕生が目白押しだ。都心を歩いていると、あれっ、こんなホテルが!?と思うことが多い。ネットで2022年にオープン予定のホテルを調べてみた。例えば、東京駅前に2023年に開業が予定されているのが「ブルガリホテル東京」で、複合ビルの39階から最上階45階の7フロアに全98室の客室や約1500平方メートルのブルガリ・スパ、アウトドアテラスを備えたバーやレストランなど、洗練されたイタリアンスタイルの空間が誕生するという。

 その他のホテルを見ると、赤坂や麻布、渋谷、など地の利の良い場所にオープンしたホテルもあれば、キャッシュレス限定ホテル、愛犬家をターゲットとし、ドッグランや一時預かりのあるホテル、客室に大型バスやサウナを備えたホテル、温泉大浴場を備えたホテル、宿泊と研修一体型のホテルなど、それぞれに独自の特徴を備えていることも目を引く。

 中でも新宿にお目見えした「ナインアワーズ ウーマン新宿」というホテルは日本初のウェルネス・カプセルホテル。お客さまの睡眠状態を科学的に測定し、客観的なデータに基づいた分析レポートを提供することで健康状態を可視化。コンセプトも、都市宿泊に必要な機能として、汗を洗い流す、眠る、身支度をする三つの行為を時間に置き換えて、「1時間で汗を洗い流す」「7時間の睡眠」「1時間の身支度」の計9時間とし、新たな滞在価値を提供しようというもの。カプセルそのものも内部に角がない繭のような形状で、カプセルホテルの概念を変えている。神田や大手町など都内数カ所にも店舗があり、その地の環境に適したサービスも行っているという。

 今年の夏以降には、全室シューズオフのホテルや全室に高品質スピーカーとプロジェクターを完備したホテル、「酔いしれる」をコンセプトにお酒のエッセンスがちりばめられたエンタメホテルなども誕生するという。このコーナーで何年も前から書いていることだが、そのホテル独自の「強み」があるかどうかが決め手となる。筆者も含めて旅行者は移り気。そんなお客さまをどのように取り込んでいくかがちょっと見ものである。

 取引先の旅館の女将さんから、来年、新たなおもてなし施設を加える工事が始まることを聞かされた。ここで内容は言えないが従来の概念を超えたサービスが加わるようだ。「めざすのはオンリーワンの宿」。何年も前にそう語っていた女将さんの言葉を思い出した。うれしくなった。応援したいものだ。

 
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