【道標 経営のヒント 309】新しいGoToでは「ワクチン・検査パッケージ」が必須条件 福島規子


 Go Toトラベル事業がいよいよ再開する。概要については本紙に詳しいが、新しいGo Toトラベルでは「ワクチン・検査パッケージ」の提示が必須となる。観光庁は令和3年11月19日付で「旅行業・宿泊業におけるワクチン・検査パッケージ運用ガイドライン」を公開した。「ワクチン・検査パッケージ」とは、ワクチン接種済み(ワクチンを2回接種し、かつ2回目接種から14日以上たっていること)または確認日の3日前以降(抗原定性検査の場合は前日または当日)の検体採取による検査結果が陰性であることを事業者に提示することで感染防止を図る仕組みのことである。

 観光庁は、観光業界に同パッケージを導入するに当たり、ツアー客(972名)と宿泊単体商品の購入者(7413名)を対象に技術実証を実施し、結果を11月19日に公表した。調査期間はツアーが10月8日~11月14日、宿泊施設が10月15日~31日チェックインまで。

 証明書として陰性証明書ではなくワクチン接種済み証を提示したのはツアー参加者84.2%、宿泊客99.6%だった。提示方法はツアー客では紙のコピー54%が最も多く、次にスマホで撮影した写真25.3%、原本21.3%だった。また、宿泊施設の利用では原本を提示した顧客が65.2%、写真21.5%、紙コピー12.8%だった。

 事業者にこれら証明書の確認作業による負担感について聞いたところ否定的意見が73.7%と7割を超えた。

 しかし、ワクチン接種済み証や検査証明の提出を要件とした場合、安心感を与えるか否かを尋ねたところ「高まった」「やや高まった」と回答したツアー客は91.5%と9割を超え、宿泊客でも72.2%と高い比率で肯定的な考えを示した。また事業者側も91.5%が同様に回答した。手間はかかるがその有益性については理解されているといえよう。

 ただ、実際に運用するとなると、ワクチン接種証明書等を提示しても風邪のような症状があった場合、その顧客の宿泊を受け入れてよいのか、拒否できないのかといった疑問もある。

 「旅行業・宿泊業におけるワクチン・検査パッケージ運用ガイドライン」では、「旅館業法(昭和23年法律第138号)など個別法においてサービスの利用制限の排除について定めている場合には法違反とならないようにすることに留意する必要がある」と宿泊拒否については慎重に対処するよう明記している。

 ちなみに、第5条については従業員の安全を守るという観点から廃止とする意見がある一方、第5条があるから障害者は宿泊に関して安心していられるという声もある。この件については厚労省が設置した「旅館業法の見直しに係る検討会」の中で検討が重ねられている。

 いずれにせよ、Go Toトラベルは始まる。まずは、ワクチン・検査パッケージの確認マニュアルから作成しよう。

 
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