【道標 経営のヒント 241】「膳かけ紙」と「特大茶碗」 九州国際大学教授 福島規子

  • 2020年7月4日

 前回の続き。

 宿泊業界3団体連名で策定した「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」(詳細は本紙5月23日付2面参照)には、宴会、会食、食事処などの食事場所では「宿泊客に食事開始までマスク着用を要請」「下膳と同時に料理提供をしない等」と細かな定めがある。今回はガイドラインを順守するための接客方法について検討していく。

 さて、食事会場で着席した顧客に「食事開始まではマスクを外さないでください!」とは、正直、言いにくい。ガイドラインの「食事開始までマスク着用」の裏には、すでに並べてある料理に会話中の飛沫が掛かったら危険という考えがあるのだろう。もし、そうであるならば、顧客にマスクの着用を要請するのではなく、料理を膳かけ紙で覆ってさりげない配慮を示す方がスマートだ。そうすれば接客係の精神的負担も少なくて済む。

 とはいうものの、最初から全ての料理を並べてしまうことには抵抗がある。言うまでもなく温かい料理は冷め、冷たい料理はぬるくなる。せめて食事中に1回は後出し料理を提供し、2回目にご飯、3回目にデザート、そして、顧客が退席してから、空の器をまとめて下げる下膳スタイルとしたい。献立内容によっては1回目の料理提供で「吸物と向付(刺身)」あるいは「向付と強肴(ステーキ等)」と2品出しにする方法もある。

 ご飯提供では、現在、お代わり用としてお櫃(ひつ)を顧客に預けているが、感染リスクを考えるとお櫃の共有も避けるべきだろう。仮に、人数分のしゃもじを用意したとしても気の利いた顧客が同席者のご飯をよそいながら「量はこれくらい?」と聞けば、飛沫も飛ぶ。

 そこで、お櫃を預ける代わりに、お代わり分も入る大きめの茶碗を用意してはどうだろう。サイズは少し大きめのものと直径14センチの特大茶碗の2種類。係は、ご飯をよそう前に感染予防のためお櫃を下げることを伝え、顧客にはお代わり分の分量を踏まえた上で、ご飯茶碗のサイズを選んでもらう。大きな茶碗を選びにくい女性客には小ぶりに見えても、多めに入る丸みを帯びた茶碗を勧めると良いだろう。

 最後の下膳では手指消毒はもちろん、一つ一つの作業を感染防止に努めながら手順通りに行うことが重要である。例えば、先が濡れている箸を直に盆や脇取りに載せると、水分に含まれている唾液が盆に付着し、感染リスクを高めることになる。箸を下げるときは、盆や脇取りの縁から箸先を3センチほど出して盆に載せるのが基本だ。

 「膳かけ紙」「特大茶碗」。顧客満足度を下げずに感染を予防する方法は他にもあるはず。それぞれが知恵を絞り公開、共有することで難局を乗り越えていきましょう。

 
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