【道標 経営のヒント 222】冬の空に咲く、平和の花 コンテンツキュレーター 小倉理加

  • 2020年2月5日

 昨年末、某フランスのジュエラーが開催したイベントで、お土産に花火をいただいた。先端がゴールドに輝く線香花火で、目にするだけで気分が華やぐものだった。しかし、都心では、冬に気軽に花火を楽しめる環境がない。しかし、ゴールドの花火に触発された気持ちは治まる気配を見せず、無性に花火を見たくなり、すぐに足を伸ばせる河口湖の冬花火へ出かけてみた。

 正直、そこまで期待をしていなかったが、噂以上の素晴らしさだった。まず、間近で上がる迫力に圧倒される。目の前の夜空いっぱいに描かれる一瞬の光の絵画は、さえ渡る冬の夜空で、いつもよりくっきりと姿を現す。星のように瞬きながら地上に降り注ぐような花火や、スマイルマークなどさまざまなモチーフを形作るものなど、20分の中にいくつもの見せ場があり、全く飽きない構成が工夫されていた。なんといっても、冬空ならではの竜が天に駆け上がるかのように花火が上がっていく様子が実に美しかった。

 気がつけば、花火を賞賛する周囲の声が、日本語よりも英語や中国語の方が多かった。日本の花火は“世界一”といわれるほどに、海外でも有名であることを思い出した。

 「日本の花火は、100%手作りです。海外の花火は円筒形の入れ物に火薬を詰めたものが一般的なので機械で作られているものがほとんど。日本の花火はおなじみの丸い玉に“星”と呼ばれる火薬を詰めていく構造なので、手作業でなくては作ることができません。非常に細やかな調整が必要になるので、熟練した職人の勘が大切なんですね。また、この構造こそが日本の花火のデザインを自由自在にし、世界が注目する芸術作品が生まれるゆえんなのです」。

 “ハナビスト”の肩書きを持つ冴木一馬氏を取材した時に教えてもらったことだ。もともとは、中国からヨーロッパを巡ってわが国にもたらされた花火がこれほど発展した理由も、その時に冴木氏は教えてくれた。

 「300年ほど続いた徳川幕府のおかげです。平穏な時代が長く続いたことで、火薬の使用が鉄砲から花火へと移行していきました。そこへ、江戸の人たちの新しもの好きな気質が手伝って発展したのです。最初は、大名や豪族などがお金にものを言わせて手持ちで楽しんでいたものが、のちに町人にも広がり、“宵越しの金は持たない”という粋の文化がぜいたく品だった花火の文化を支えました。そこに、通信手段であったのろしの技術がかけ合わさって、打ち上げ花火が生まれていったのです」。

 いわば、平和の象徴のような日本の花火。世界情勢に陰りが見える今こそ、世界へのメッセージとして、多くの外国からの観光客たちの心に残ればと願ってやまない。

 
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