【道標 経営のヒント 221】ギグワーカーという働き方、雇い方 九州国際大学教授 福島規子

  • 2020年1月30日

 ギグ・エコノミーとはインターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方やそれによって成り立つ経済形態のことを言う。この仕組みを支える働き方がギグワークであり、そのような働き方をする人をギグワーカーと呼ぶ。アメリカ発祥のUber Eats(ウーバーイーツ)はレストランの料理を「配達パートナー」と呼ばれる登録スタッフが注文者へ届けるというビジネスモデルで世界中を席巻している。この「配達パートナー」がギグワーカーである。

 同社のホームページによると東京・埼玉・千葉地域の配達パートナーへの支払いは、「基本料金×ブースト+特別キャンペーン―サービス手数料10%」によって算出される。仮に、首都圏で平日の午前11時にブースト倍率1.5倍で配達した場合、賃金は714円になる。料理を受け取りに行くのに1時間かかったとしたら、通常のアルバイト時給の最低賃金よりも安い。

 最近では「自分の好きな時間や場所で働ける」「(職種によるが)採用面接がない」ことから飲食店のホールスタッフや調理補助といった仕事にもギグワーカーが増えている。雇用する側からいえば、アルバイトのようにシフトを組むことなく、賃金を抑えて能力の高い人材を確保できるメリットがある。しかし一方で、被雇用者ではないギグワーカーの基本的人権や社会保障は、従来の労働法制の枠組みでは守り切れないという問題もある。

 マリオン・マクガバンは、著書「ギグ・エコノミー襲来新しい市場・人材・ビジネスモデル」の中でギグワーカーの頂点に位置するのは高い専門性を有し、重い責任と高額の報酬を得ている弁護士やコンサルタントといった「専門職」であり、その下にドライバー、料理人、修繕工事人など発注者の指示に従い、責任が限定されている「技能労働者」が位置するという。そして、ギグワーカーの最下層が駐車係、食品・雑貨の宅配、配送アシスタント、レストランの接客係など専門性を必要としない「非熟練労働者」である。マニュアルに従っていれば、責任を問われることはないが、その分、報酬も最低賃金プラスアルファ程度に過ぎない。

 飲食店で働くギグワーカーは、現場では「できる人」と評価され、重宝されるが、給与も上がらず都合よく使われるだけという一面もある。同志社大学の浜矩子教授はギグワーカーを「渡り職人」と称するが、渡り職人化された接客現場では、接客係とリピーター客が時を越えて濃密な関係性を築くことは難しい。同様に、従業員同士の信頼関係の築き方も変わってくるだろう。労働への考え方や価値観が異なる従業員を、いかにしてまとめていくのか。雇用する側の覚悟と、組織としての柔軟な対応が求められるところだ。

 
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