【道標 経営のヒント95】スマホの弊害 宮坂 登

  • 2017年5月15日

 この数カ月、全国数多くの旅館・ホテルのウェブサイトを眺め、業務の参考にしていた。その宿の「強み」や「売り」は何か。そんな観点から眺めていて、あることに気づいた。サイトのマルチデバイス対応が進んで、パッと見、では宿の伝えたいことが分かりづらくなっていることである。

 日本中どこにいってもどんな場面でも、片手にスマートフォン(スマホ)を握っている人ばかりだ。当然、宿のサイトもスマホ対応を余儀なくされている。スマホからの予約が増えているというから、宿のサイトのスマホ対応が遅れれば遅れるほど損失は大きいと思う。

 解消法は、一つのコンテンツデータを、アクセスされた「デバイスの画面幅」に合わせたデザインに出し分けるレスポンシブル・ウェブ・デザインの採用によるリニューアルである。

 しかしながら、縦スクロールを中心とした見え方なので、採用している宿のどのサイトを見ても同じフォーマットである。違いは写真とテキストが変わるだけ。先述した、宿の伝えたいことが分かりづらくなっている、という理由がそのデザインにある気がしてならない。印象に残らない。スマホなどデバイスの利便性の向上に伴って、宿の個性の打ち出し方が一段と難しくなっている気がする。

 例えば、さまざまなホテルサイトをスマホで見るとどれもこれも先進的なハイイメージ訴求が共通項で、個々のホテルが何を伝えたいのかが分かりづらい。

 旅館・ホテル関連の営業職についている友人は「レスポンシブル・ウェブ・デザインなんてひな形がひとつじゃないか。だったらサイトリニューアルにそんなに予算をかける必要はないのではないか」とも言う。

 ネットエージェントサイトを通じた集客に寄りかかった営業をしている宿ならばそれでいいのではないだろうか、とも思うが、本筋は異なるような気もする。

 多少の予算と知識が必要だが、サイトをマルチデバイス対応にするなら「CMS(コンテンツ・マネジメント・サービス)」を導入するべきだと思う。サイトを一元管理しながら、デバイスごとにコンテンツを出し分けることができ、サイトの基盤として使えばマーケティング的な相乗効果を得られ、戦略的な最適化をマルチデバイスで行うことができる。

 コンテンツデータを一元管理しながら、デバイス別のデザイン・レイアウトでの情報発信できるから、画面幅にばかり比重を置かない表現展開が可能になる。あちこちで提案しているが、予算の問題なのか、今のところいい返事は得られない。なぜだろうか。

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