【道標 経営のヒント】一石二鳥2泊3日ツアー 石井敏子


 私には定休日がない。スタッフのシフト表は作っても自分の休みをなかなか入れられない。しかし、予約帳とシフト表を見ながら「あ、ここなら」と、いう日が必ずある。そこでフラッと旅に出る。今回は長い間行っていなかった福島県喜多方に行くことにした。この仕事で良かったと思う時はこんな時だ。行って見たい宿と会ってみたい仲間が全国にいる。

 5月の連休もあけた平日の午後、喜多方の町は閑散としていた。宿で自転車を借り町の中を2時間ほど回った。外国人にはまだ認知度も低いようで、インバウンドの観光客は一人も見かけない。夜、自転車好きの宿のご主人のお誘いで近所の居酒屋さんでおいしい地酒をいただきながら、これからの観光戦略の話に花が咲いた。

 喜多方には志を持っておいしい酒づくりに挑む酒蔵が9軒あり、そのうち7軒は若い跡取りが次いでいるそうだ。実はもともと日本酒が苦手だったのだが、小規模の蔵元が醸す日本酒の素晴らしさを教えてくれた友人の影響で40代後半から日本酒好きを公言するようになった。

 酒づくりは文化なり。1軒でも多くの酒蔵を残すには、「まずは一滴でも多く飲まなくては」と言うと、飲ん兵衛の戯言に聞こえるが、ヨーロッパ観光でワイナリー巡りが欠かせないように、私はこれからの日本の観光に酒蔵巡りは欠かせない要素だと思う。

 喜多方ではすでに、「喜多方酒蔵探訪のんびりウオーク」を毎年5月末の土曜日に行っている。定員400人、1人2千円2時間コースでおつまみ付き酒蔵巡りなど八つの特典付きだ。宿にはこのイベントを目指して毎年予約が入るそうだ。

 今年の「全国新酒鑑評会」で福島県の蔵元が出品した22銘柄が金賞を獲得し、都道府県別の金賞受賞数で5年連続の「日本一」に輝くなど国内では有名だ。しかし、海外ではまだまだ。こちらの宿でも外国人を積極的には受け入れていないそうだ。

 ご主人の実家は喜多方から20分ほど車で行った所の農家。会社勤めをしていた頃は田植え、収穫期などは必ず休みをとって手伝っていたそうだ。そこで私としては、外国人を積極的に受け入れていただき、若い蔵人と一緒に協力し喜多方の酒蔵見学(お酒造りの簡単なお手伝いができると一層良い)をし、町で1泊、翌朝喜多方名物の朝ラーメンをいただき、磐梯山の山裾に広がるキラキラ光る田んぼを眺めながら、サイクリングで移動してから農家民泊。

 季節にもよるが、繁忙期の田植え、収穫時期のお手伝いという一石二鳥2泊3日コースが出来上がった。喜多方から車で20分と言うことは約1時間の自転車コースである。喜多方の川沿いは自転車道路も整備されつつあると聞いた。

 日本酒の原料の米づくりの現場と豊かな水源である雄大な山々を体感していただくのは、旅行者にとって素晴らしい体験になることだろう。年取ったご両親にとっても言葉の通じない相手との交流は、かなり刺激的で楽しいのではないかと、勝手に思った。

 夜はおいしい地元の家庭料理と地酒で一献。日本人の私でもやってみたい。何事もまず一歩から、ぜひ将来叶うことを期待して、今宵はお酒を控えめに体力づくりに切り替えることにした。

 
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