【逆境をチャンスに-旅館の再生プラン364】2017年に取り組むこと その5 青木康弘


 2017年に取り組むべきポイントについて紹介しよう。今年は「油断していると足下をすくわれるリスクの多い年」となるだろう。好調の中でも、リスクの芽を早く見つけ対策を打っていきたい。勝って兜の緒を締めることである。

 ■成熟期の過剰投資に注意する

 旅館・ホテル業は資金調達のしやすさに関係なく、長期的な視点で設備投資計画を立てて実施していくべきであるが、どうしても世相に流されがちだ。景気の停滞時期には、経費抑制を優先するあまり本来投資すべきものが先送りされる。

 ハード設備の商品価値が低下し、ますます低価格競争に巻き込まれてしまう。一方で、景気の回復時期には、他の旅館・ホテルもやっているからと投資回収の確実性をしっかりと検証しないままに、設計事務所や金融機関の勧めによって投資してしまう。世の中の雰囲気に流されて冷静さを欠いた行動になりがちだ。

 旅館・ホテルの開発やリニューアルを不動産投資と捉えるならば、売り上げ・利益が低迷期から回復期へ転じた初期のタイミングでリニューアル投資や増改築、新規開発を行い、売り上げ・利益の拡大ペースが落ちて来た段階で、投資を抑制したり売却による投資回収を行ったりするのが定石である。しかしながら、日本の金融機関は、大手チェーンの新規出店が加速して業界の業績回復基調が目立つようになってから、ようやく融資申し込みに対して前向きに検討してくれるのが実情だ。投資すること自体は意義あるが、機を逸することになりかねない。

 旅館・ホテルの市場成長は昨年後半から変調を迎えている。これまでインバウンドで大幅な収益を獲得していた館が、宿泊客の急減により苦境に立たされるケースも珍しくない。

 半年前、1年前に立案した投資計画については、再度見直してみることをお勧めする。借り入れ枠いっぱいまで投資することが賢明というわけではない。

 (山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)

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