【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 646】2023年に取り組むべきこと5 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、困難な状況を乗り越え、施設を再興させるために2023年に取り組むべきことを紹介したい。新型コロナが流行を始めてから4年目になろうとしている。全国旅行支援により観光地は活況を取り戻しつつあるが、新型コロナの再燃や政府の政策に翻弄(ほんろう)され道標を見失っている旅館・ホテルは少なくない。

 (5)他業種よりも優れた社内体制を築く

 旅館・ホテル業が人材獲得に苦戦している理由として、生産性の改善が進んでおらず待遇改善を行うだけの利益を獲得できていないことがある。この問題意識を受けて、観光庁より「宿泊業の高付加価値化に向けたガイドライン」が発表された。(1)会計の視点(2)持続可能性の視点(3)労働環境改善の視点(4)IT導入の視点―の四つの領域ごとに取り組むべき基本項目(必須事項)、高付加価値化に資する発展的な取り組み事項(努力事項)がチェックリスト化されている。

 管理スタッフの少ない中小施設が全ての事項に対応することは困難であると考えられるが、一つでも多くのチェック項目を達成して、人材採用を円滑に行える高収益体質の施設を目指そう。

 必須事項として挙げられているのが、(1)貸借対照表・損益計算書・売上計画書・返済予定表の作成、労働生産性・従業員平均給与の算出、ADR・RevPARの算出(2)観光施設における心のバリアフリー認定制度の取得(3)労働関係法の順守・掲示、就業規則の作成・届出・周知、36協定の締結・届出・周知、変形労働時間制の作成・届出・周知(4)連絡手段の電子化、情報発信手段の電子化―である。

 努力事項になると格段に難易度が上がる。キャッシュフロー計算書の作成や比率分析の実施、部門別会計の作成が求められるほか、サスティナビリティ、GSTC認定の第三者認証機関からの認証、BCPの取り組みが求められる。加えて、退職金制度や能力評価制度の導入、レベニューマネジメントシステム等の導入が求められる。

 チェックリストの詳しい説明は観光庁ホームページを見てほしい。認証を取得すると補助金申請で優遇されるというメリットがある。自社の管理部門の対応能力に合わせて目標設定を行い、無理のない範囲で取り組むことをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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