【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 643】2023年に取り組むべきこと2 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、困難な状況を乗り越え、施設を再興させるために2023年に取り組むべきことを紹介したい。新型コロナが流行を始めてから4年目になろうとしている。全国旅行支援により観光地は活況を取り戻しつつあるが、新型コロナの再燃や政府の政策に翻弄(ほんろう)され道標を見失っている旅館・ホテルは少なくない。

 (2)国の補助金や制度を上手に活用する

 昨年に引き続き、観光業が活用できる国の補助金や各種制度が公表されている。新型コロナによる業績悪化に伴う支援を目的としたものなので、来年以降は予算が大幅縮小される可能性が高い。今年申請できるものは抜け漏れのないように対応しよう。

 まず、金融支援策として、借り換え保証制度が創設される。民間の実質無利子、無担保融資からの借り換え需要のほか、他の保証つき融資からの借り換え、新たな資金需要に対応するものだ。100%保証のものを100%保証で借り換えすることができるので、民間の金融機関が借り換えに応じやすくなる。新型コロナ融資の毎月の返済額が多く、資金繰りが厳しい会社は、この制度の活用を検討すると良いだろう。日本政策金融公庫による低利融資や資本性劣後ローンも継続されることとなったので利用を検討したい。

 次に、新規事業や設備投資、生産性向上に取り組むための補助金が充実される。事業再構築補助金は新たな募集枠が創設された。皆さまの会社が成長分野への進出を計画しているのであれば、市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を支援する「成長枠」に申し込みすることをお勧めする。

 逆に、市場規模が10%以上縮小する業種・業態から転換を図る場合には「産業構造転換枠」で申請すると良い。業況が厳しい会社は、「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」を検討したい。観光業界は、市場規模が拡大している分野と縮小している分野が混在しているので、皆さまが取り組みしたいテーマに応じて申請する枠を選ぶと良い。

 生産性向上を目的としたIT導入補助金は、インボイス制度開始を控え、予算増額やルール変更が行われたため、格段に利用しやすくなった。クラウド利用料(2年分)やパソコン等のハード購入費用が対象となり、補助率が引き上げ継続となっている(2分の1から3分の2、4分の3)。時限的な措置と考えられるので、今のうちに利用することをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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