【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 599】2022年に取り組むべきこと5 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、2022年に取り組むべきことを紹介したい。2021年は新型コロナ対策に翻弄(ほんろう)された1年だった。早期の収束が期待されたが一転、回復の兆しも見えないまま1年が過ぎ去ってしまった。今年こそは逆境をチャンスに変える1年としたい。

 6、他の金融機関からの資金調達に挑戦する

 必死の思いで資金繰りをつなぐ中、取引金融機関から融資を断られた企業は多い。新型コロナ流行前は、観光業界に湯水のような資金が流入したが、現在は、今後の見通しについて厳しい見方をする金融機関の審査担当者は少なくない。まさに「晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」という状況が起こっている。

 政府はこの状況を見過ごしているわけではない。相次ぐ融資制度や緩和措置、補助金の導入によって観光業界を下支えしてくれている。しかしながら、金融機関の独自判断によって、政府の資金支援の流れがせき止められてしまっているのが実態だ。

 中小企業再生支援協議会の中にも、追加融資や補助金の活用に否定的な支部がある。自助努力によって黒字化を図るよう指導され、事業再構築に取り組むための融資申し込みも許されないという状況だ。

 このような事態に翻弄されている旅館・ホテルは、取引銀行の幅を広げることをお勧めしたい。メイン銀行から融資を断られても、他の銀行から融資を受けられるチャンスはある。メイン銀行に義理を立てても助けてくれるわけではない。特に、コロナ流行以降に新しく着任した金融機関の担当者は、お客さまが多かった当時を見ていないので否定的な意見を持ちがちだ。

 他の金融機関に融資の申し込みをする際には、過去3期分の法人税申告書のほか収支計画や資金繰り表、補助金申請のために作成した事業計画書を持参すると良い。

 優先順位は、政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工中金)、地方銀行(近隣都道府県を含む、現状のメイン銀行とライバルでも可)の順で打診すると良いだろう。金融機関の反応や評価は一様ではないことが分かるだろう。資金繰りに悩むばかりでなく、行動を起こしてコロナ禍を乗り切りたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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