【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 597】2022年に取り組むべきこと2 青木康弘


 前回に引き続き、2022年に取り組むべきことを紹介したい。21年は新型コロナ対策に翻弄(ほんろう)された1年だった。早期の収束が期待されたが一転、回復の兆しも見えないまま1年が過ぎ去ってしまった。今年こそは逆境をチャンスに変える1年としたい。

 4、信用格付けの引き下げに注意する

 旅館・ホテル、観光業を対象とした補助金が昨年に引き続き今年も充実される予定だ。このチャンスをしっかりと生かして、施設のリニューアルや新規事業の取り組みを積極的に推進したい。ただし、資金調達は注意して臨まなければならない。新型コロナの影響による業績悪化により信用格付けが引き下げられ、資金調達に支障をきたす可能性があるからだ。

 金融機関は、企業から提出された決算書に基づき、信用格付けを決定している。格付けのほとんどは、皆さんから提出された決算書によって決定される。財務分析を行い、安全性、収益性、成長性、債務返済能力の観点から定量評価が行われる。

 定量評価に加え、過去の取引履歴や会社の将来性、経営者の能力、提出された経営改善計画の実施状況等の定量評価が加味され、最終的な総合評価が行われる。評価の高いものから順に、正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先に区分される。

 補助金などを活用して施設のリニューアルや新規事業への取り組みを行う際には、決算期をまたぐことによる格付け変更に注意しなければならない。当初、金融機関から融資の内諾を得て補助金を獲得してもその後の格付け変更で要管理先や破綻懸念先に落とされてしまい、融資が受けられなくなる事態が想定される。

 格付け変更の時期は金融機関により異なるが、おおむね決算書の提出から2~3カ月以内に変更となっている。3月決算の会社の場合は、21年3月期、22年3月期の2期連続で赤字決算となることが想定され、格付けが引き下げられる可能性がある。格付け変更の時期は、今年の7月から8月と想定される。もし、格下げが懸念されるのであれば、決算期をまたぐ前に、補助事業のつなぎ資金の調達をしておいた方が良いだろう。

 補助金の採択通知は融資のお墨付きではない。あらゆるリスクを想定して資金不足に陥らないよう手を打っておきたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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